2011年7月Blog
2011年07月28日カテゴリ:音楽
◆7月28日 《大阪〜津 N響大阪公演》
28日、再びN響は大阪にきました。今回はマルクス・ポシュナー指揮でベートーヴェンの7番、「エグモント」序曲、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の名曲プログラム。
メンデルスゾーンはまだ22歳のアレクサンドラ・スム。鮮やかに弾ききってます。そして久しぶりに弾いたメンデルスゾーンの素晴らしさに改めて感動。名曲は、いつも色褪せない。
N響はこの1週間でベートーヴェンの5番7番交響曲を2人の違う指揮者で演奏したことになります。両方聞かれた方には、指揮者の個性が出て面白かったのではないでしょうか。
一日挟んで、30日は三河安城、31日は津で同じ演奏会でした。
◆7月18日 《大阪で運命》
「運命」というタイトルが定着しているベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調。日本だけのネーミングで正式名称でないのは有名な話。2nd.Vn.パートはほとんど覚えているので、1st.Vn.を弾いても未だに体が勝手に反応して弾きそうになるくらい、頻繁に演奏する有名曲です。それくらい回数やっていても難所は難所としていつも緊張し、うまくいったりいかなかったりの繰り返しです。そうたやすくはクリアさせてもらえません。
この作品はベートーヴェンがEroica交響曲を書いた34歳ごろから書き始められたそうですが、第4番の交響曲やヴァイオリン協奏曲などを先に書き上げ、結局38歳の時に完成されました。
「苦悩から勝利へ!」を見事に表した構成、ハ短調(戦い)からハ長調(完全無欠の勝利)ってのも、たまらない展開、最終楽章は我を忘れて突き進むしかない。それが2nd. Vn.やヴィオラの16分音符に込められてるような気がします。
で、この第4楽章、いつもは喜び爆発で良かったのですが、ふと演奏中に
「これって、遺書を書いた後に書いたんだ…」
と思ったら、ハ長調なのにとてつもなく寂しく感じました。
32歳で遺書を書いたベートーヴェンが、耳が聴こえなくても生きていく決意とともに書いたハ短調交響曲には絶望からただ復活した以上のエネルギー、念が込められています。 ただハッピーなハ長調でなく、すべてを吹き飛ばすドスの利いたハ長調。
だからこそ、200年も経っているのに色褪せることなく、感動できるのでしょう。
ベートーヴェンの苦悩に比べたら、こっちはちっぽけな悩みだなぁ、な〜んて反省。
大阪公演を終えて、楽屋口を出たらとあるご婦人から「ブログ見てます、ごまちゃん元気ですか?」と声をかけられました。
ありがとうございます。
◆7月5日 《鹿児島で学校公演》
NHKの主催する学校公演で、鹿児島の玉龍中学校、高校に行って来ました。体育館での演奏なので、おそらく相当暑くなると覚悟して行きました。
学校側も扇風機や氷柱を並べて熱中症対策してましたが、当日は予想に反してどしゃ降りの雷雨。涼しいけど、80%超えの湿度と雨音はちょっと困りました。
でもみんな、静かに聴いてくれて、ちょっと感動。ここの学校は公立にはめずらしい中高一貫だそうで、廊下ですれ違う生徒生徒がみんな気持ちよくあいさつをしてくれました。
途中、客席に入っての交流では、中学生は素朴に楽器の質問をしてくるのに対して、高校生は楽器の値段をダイレクトに聞いてくる。
成長を実感します。
情熱大陸を弾いてくれ、のリクエストに応えられず残念。実は曲を知らないのです…。流行にもう少し敏感にならねば。AKBの総選挙については少し勉強しておいたけど、そこはノータッチでした。
◆7月3日 《新しい弦のセッティング》
D線の反応が他の弦に比べて若干鈍いので、 メイン楽器に使っている弦のセッティングをちょっと変えてみました。
今までのセッティングは以前「弦について」で書きました。基本的には同じなんですが、今回D線を16 1/4のオリーヴ弦から16 1/2のオリーヴ弦リジットにしてみました。他は変わらずA線オイドクサ、G線オリーヴ細め弦です。
D線はすでに標準より細めを使っているため、反応を速くするには太くするよりリジット(硬巻き)かシルバー巻きの両方を試してみました。まずシルバーを張ってみたところ、見事に反応が良くなり、明るくハッキリした発音にこれで問題なし!と決まりかかったのですが、弾いているうちに他の弦がどんどん沈んだ音色に変化していきました。D線だけ聴くと良いけど、逆に周りがイマイチ。楽器も詰まり気味になってきたので、シルバーを諦め、リジットで試してみることに。で、結果こちらの方が、周りは今まで通りでD線の鳴りも良く、理想的なバランスになりました。本当は16 1/4のリジットを試したかったのですが、どこにも在庫がない、というか売っていないので1/2になりましたが、結果オーライです。
ちなみにE線は相変わらずダミアン製の裸ガット弦です。
よくナイロン弦は温度湿度の変化に強く、ガット弦は弱いと言われています。確かに湿度に弱いところはあると思います。普段ナイロン弦を使っている人がガット弦を張ってみたところ、音程が狂ってどうしようもないのでガット弦は使えない、やっぱりナイロン弦に戻した、という話を良く聞きます。しかし、僕はガット弦が狂いやすい弦だとは思っていません。使い続けているとそれほど狂わなくなってきます(許容範囲内で済みます)。実際、今日の埼玉会館での演奏会では、会場が蒸し暑く、照明のスポットライトも熱く感じるくらいでしたが、大して狂いませんでした。
あくまで個人的意見ですが、弦を替えると、新しい弦に対してより響きやすい方向に楽器自身が動き出します。目に見えないところで、木自体が動き出す。ただせさえナイロンからガットという、異質な弦に張り替えるのだから、響きが変わって当然で、その響きに楽器自体が慣れるまで微妙に動き続ける、これがガットにしたらすぐ狂う原因だと思います。じゃあ、逆にガットからナイロン弦に替えるとやはり同じ、というと、そうでもない。ナイロン弦は木と共鳴しにくい(動きにくい)が、ガット弦の方が圧倒的に共鳴しやすい。やはり天然素材どおしだからでしょうか。
でも落ち着くまで我慢して、次第に楽器が弦に慣れて共鳴しだすとやめられなくなってしまう。化学調味料と天然出汁の違いくらいあります。
ガットに挑戦したい方、諦めずに張り続けてみてください。
28日、再びN響は大阪にきました。今回はマルクス・ポシュナー指揮でベートーヴェンの7番、「エグモント」序曲、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の名曲プログラム。
メンデルスゾーンはまだ22歳のアレクサンドラ・スム。鮮やかに弾ききってます。そして久しぶりに弾いたメンデルスゾーンの素晴らしさに改めて感動。名曲は、いつも色褪せない。
N響はこの1週間でベートーヴェンの5番7番交響曲を2人の違う指揮者で演奏したことになります。両方聞かれた方には、指揮者の個性が出て面白かったのではないでしょうか。
一日挟んで、30日は三河安城、31日は津で同じ演奏会でした。
◆7月18日 《大阪で運命》
「運命」というタイトルが定着しているベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調。日本だけのネーミングで正式名称でないのは有名な話。2nd.Vn.パートはほとんど覚えているので、1st.Vn.を弾いても未だに体が勝手に反応して弾きそうになるくらい、頻繁に演奏する有名曲です。それくらい回数やっていても難所は難所としていつも緊張し、うまくいったりいかなかったりの繰り返しです。そうたやすくはクリアさせてもらえません。
この作品はベートーヴェンがEroica交響曲を書いた34歳ごろから書き始められたそうですが、第4番の交響曲やヴァイオリン協奏曲などを先に書き上げ、結局38歳の時に完成されました。
「苦悩から勝利へ!」を見事に表した構成、ハ短調(戦い)からハ長調(完全無欠の勝利)ってのも、たまらない展開、最終楽章は我を忘れて突き進むしかない。それが2nd. Vn.やヴィオラの16分音符に込められてるような気がします。
で、この第4楽章、いつもは喜び爆発で良かったのですが、ふと演奏中に
「これって、遺書を書いた後に書いたんだ…」
と思ったら、ハ長調なのにとてつもなく寂しく感じました。
32歳で遺書を書いたベートーヴェンが、耳が聴こえなくても生きていく決意とともに書いたハ短調交響曲には絶望からただ復活した以上のエネルギー、念が込められています。 ただハッピーなハ長調でなく、すべてを吹き飛ばすドスの利いたハ長調。
だからこそ、200年も経っているのに色褪せることなく、感動できるのでしょう。
ベートーヴェンの苦悩に比べたら、こっちはちっぽけな悩みだなぁ、な〜んて反省。
大阪公演を終えて、楽屋口を出たらとあるご婦人から「ブログ見てます、ごまちゃん元気ですか?」と声をかけられました。
ありがとうございます。
◆7月5日 《鹿児島で学校公演》
NHKの主催する学校公演で、鹿児島の玉龍中学校、高校に行って来ました。体育館での演奏なので、おそらく相当暑くなると覚悟して行きました。
学校側も扇風機や氷柱を並べて熱中症対策してましたが、当日は予想に反してどしゃ降りの雷雨。涼しいけど、80%超えの湿度と雨音はちょっと困りました。
でもみんな、静かに聴いてくれて、ちょっと感動。ここの学校は公立にはめずらしい中高一貫だそうで、廊下ですれ違う生徒生徒がみんな気持ちよくあいさつをしてくれました。
途中、客席に入っての交流では、中学生は素朴に楽器の質問をしてくるのに対して、高校生は楽器の値段をダイレクトに聞いてくる。
成長を実感します。
情熱大陸を弾いてくれ、のリクエストに応えられず残念。実は曲を知らないのです…。流行にもう少し敏感にならねば。AKBの総選挙については少し勉強しておいたけど、そこはノータッチでした。
◆7月3日 《新しい弦のセッティング》
D線の反応が他の弦に比べて若干鈍いので、 メイン楽器に使っている弦のセッティングをちょっと変えてみました。
今までのセッティングは以前「弦について」で書きました。基本的には同じなんですが、今回D線を16 1/4のオリーヴ弦から16 1/2のオリーヴ弦リジットにしてみました。他は変わらずA線オイドクサ、G線オリーヴ細め弦です。
D線はすでに標準より細めを使っているため、反応を速くするには太くするよりリジット(硬巻き)かシルバー巻きの両方を試してみました。まずシルバーを張ってみたところ、見事に反応が良くなり、明るくハッキリした発音にこれで問題なし!と決まりかかったのですが、弾いているうちに他の弦がどんどん沈んだ音色に変化していきました。D線だけ聴くと良いけど、逆に周りがイマイチ。楽器も詰まり気味になってきたので、シルバーを諦め、リジットで試してみることに。で、結果こちらの方が、周りは今まで通りでD線の鳴りも良く、理想的なバランスになりました。本当は16 1/4のリジットを試したかったのですが、どこにも在庫がない、というか売っていないので1/2になりましたが、結果オーライです。
ちなみにE線は相変わらずダミアン製の裸ガット弦です。
よくナイロン弦は温度湿度の変化に強く、ガット弦は弱いと言われています。確かに湿度に弱いところはあると思います。普段ナイロン弦を使っている人がガット弦を張ってみたところ、音程が狂ってどうしようもないのでガット弦は使えない、やっぱりナイロン弦に戻した、という話を良く聞きます。しかし、僕はガット弦が狂いやすい弦だとは思っていません。使い続けているとそれほど狂わなくなってきます(許容範囲内で済みます)。実際、今日の埼玉会館での演奏会では、会場が蒸し暑く、照明のスポットライトも熱く感じるくらいでしたが、大して狂いませんでした。
あくまで個人的意見ですが、弦を替えると、新しい弦に対してより響きやすい方向に楽器自身が動き出します。目に見えないところで、木自体が動き出す。ただせさえナイロンからガットという、異質な弦に張り替えるのだから、響きが変わって当然で、その響きに楽器自体が慣れるまで微妙に動き続ける、これがガットにしたらすぐ狂う原因だと思います。じゃあ、逆にガットからナイロン弦に替えるとやはり同じ、というと、そうでもない。ナイロン弦は木と共鳴しにくい(動きにくい)が、ガット弦の方が圧倒的に共鳴しやすい。やはり天然素材どおしだからでしょうか。
でも落ち着くまで我慢して、次第に楽器が弦に慣れて共鳴しだすとやめられなくなってしまう。化学調味料と天然出汁の違いくらいあります。
ガットに挑戦したい方、諦めずに張り続けてみてください。