7月 2002

2002年7月〜9月の旧酔っ払いの戯言










9.15
昨日は古河文学館で恒例のAlberi String Quartetのベートーヴェン・ツィクルス。今回は弦楽四重奏曲第6番とピアノ・ソナタからの編曲の弦楽四重奏曲op.14、ヴァイオリン・ソナタ第3 番、弦楽五重奏曲op.4だった。僕はソナタも弾いたので全曲出番。今回はいつもに増してきつい本番だった。ソナタは今までの1,2番より技巧的にも音楽 的にも格段にグレードアップしている(同じop.12の連作にも関わらず)し、第6番のカルテットは訳の解らない第3楽章や後期の作品を思わせる和声の第 4楽章で、こっちをパニックにおとしめる。弦楽五重奏にたどり着くころには、精根尽き果ててほとんど出がらし状態だった。今回で取りあえず初期四重奏が全 曲演奏されたことになる。ヘンレ版の楽譜のどこを開いても書き込みがあるってのは、感慨深い。これで次回からは中期にいくかとそうではなく、まだ初期のソ ナタやら、ピアノトリオ等が数々残っている。「ラズモフスキー」弦楽四重奏曲には、うまくいけば4回後から再開になる予定だ。
終演後打ち上げの席で、文学館の方と今後の事について色々お話する事ができた。どんな話しをしたかは未だ内緒だが、いくつかの楽しい企画を今後出していきたいので詳細が決まったら発表します。
今夜は近所の美味しいお寿司屋さんに行く日。今から楽しみ。


9.13 13日の金曜日、今日はデュトワでフランス物の定期。昨日より今日の方が落ち着いていて良かった思う。神田氏の「牧神」、素晴らしい!!デュトワが彼を一 人立たせて拍手喝采を浴びていたあとも、管楽器セクションの方から、「・・・シィ、・・・シィ、・・・シィ・・・」と聞こえてくる。客席には聞こえない が、小声で「素晴らシィ、素晴らシィ・・」とみんなが褒めているのだ。 ルーセルは弾いてて楽しかった。和声やら旋律やら馴染みの薄い響きがするので、パッと聞いた感じよく判りにくい曲だと思うけど、パワー全開、色彩感豊富で オケの醍醐味が味わえる曲だと思う。こういう曲をもっと採り上げてもいいのではないか。でもあそこまでまとめるデュトワも大したものだ。 来週は降り番、明日のAlberi String Quartet・ベートーヴェン室内楽全曲シリーズの演奏会が終ると一段落する。明日は難曲第6番、これがくせ者。第3楽章はリズムが判らなくなるし、4 楽章の序奏部は後期の作品を思わせる和声と緊張感が漂っていて、緊張しまくり。それにソナタの3番も超絶技巧だ。明日無事に弾けますように・・・。


9.11 デュトワ指揮での明日からの定期、ベルリオーズ「海賊」、ドビュッシー「牧神」、ルーセル「バッカス・・」はとても期待できそうだ。デュトワ自身、音楽が 湧き出してくるのを押さえきれないというか、全てがツボにハマッている感じがする。最初は訳の判らなかった「バッカス」も、今では場面場面での情景が目に 浮かぶようになったし、ベルリオーズは練習でもこれだけのハイ・テンションなんだから本番になったらどうなるのかと嬉しい心配をしてしまう。今日の練習 で、「海賊は、モントリオール響の有名なアンコールだ」とデュトワが言っていたくらいだから自然と体が動いてしまうのだろう。10数年前の来日公演でのア ンコールを思い出した。そういえば練習中、デュトワの棒が飛んできて俺の足に当たったな。一瞬、何が起こったのか判らなかったが、転がっていく指揮棒を見 て納得した。うーん、明日はなんか良いことが起こりそうだ。


9.8 一昨日、昨日のN響定期、デュトワ指揮でシマノフスキー:「スターバト・マーテル」と歌劇「ロジェ王」はどちらも日本初演だったそうだ。シマノフスキーの サウンド3日間の練習で最初は心配だったが、不思議なもんでちゃんと間に合ってしまう。GPまでには全体の見通しが見えるようになって、本番後は自然とメ ロディーを口ずさんで居たりする自分に驚いた。ただ、演奏会の所要時間が2時間20分、長すぎると思う。「ロジェ王」だけでも1時間半ちょっとは掛かるの で「スターバト・マーテル」は無理にやらなくても良かったのではないか。聴くほうも「ロジェ王」一曲に絞ったほうか聴きやすいのではないかと感じた。
明日からはデュトワお得意のフランス物中心のプログラム。僕の大好きなベルリオーズ「海賊」序曲が入っている。昔モントリオール響との来日公演で聴いた演奏が昨日のように蘇ってくる。これまた楽しみだ。

9.4 とうとう9月になってしまった。ということは2002/3年の新シーズンが開幕したわけだ。今年のN響オープニングはデュトワ指揮でシマノフスキー:「ス ターバト・マーテル」と歌劇「ロジェ王」だ。デュトワとシマノフスキー、ちょっと不思議なカップリングだがシマノフスキーの色彩的な響きを聴くと納得。練 習中も「ラヴェル・サウンド!」とか、「ショパンの様にもっと色彩感を出して」とか言っている。こっちはあまり馴染みの無い曲だけに全体がどうなっている のか未だわからないが、ハマッたら面白そう。

8.31 29日は、元BPOコンサートマスターのレオン・シュピーラー氏と弦楽合奏の演奏会だった。いつもテレビで見ていた人と、しかも憧れのBPOのコンサート マスターと一緒に演奏すると考えるだけで最初は緊張したが、練習が始まってしまうと彼の音楽と人柄に乗せられてしまい、楽しく演奏してしまった。彼は75 歳くらいだそうだが、とっても元気、現役のバリバリ奏者。奏法やニュアンスは細かいところまでこだわっているのだが、神経質にならない。曲目はモーツァル トのK.136とブリテン:「シンプル・シンフォニー」、メンデルスゾーンの第10番、ロッシーニの弦楽のためのソナタ第3番など。それぞれの作られた時 代に沿った奏法を大事にするようにと、よく言っていた。僕の大好きなメンデルスゾーンは、強弱やテンポを工夫していた。普段とどう違うのか良く解らない が、なんかとっても気持ち良い演奏会だった。
30
日は新潟でN響の演奏会。プログラムは盛岡と同じのチャイコフスキー第5番がメインで、シモノフ指揮。彼は練習中からしきりに in tempoで」と言うが、その割には棒のテンポがよく変わる。ワザとしているのか無意識でそうなってしまっているのか解りかねるが、それが盛岡では良いほ うに作用していたし、昨日は逆に混乱してしまった。今日は長野でもう一度演奏会。雪辱戦となるか。
あ~終わった、長野の演奏会。今は帰りの車中。初めて長野(行き)新幹線に乗る。シモノフは、昨日とまるで別人のようだった。チャイコ フスキーの第2楽章あたりからジワジワ~っと只ならぬ空気が立ちこめてくる。冒頭のホルン・ソロ(樋口さん)の淡くてどこか物寂しげな表情に対する弦の ハーモニーの色付けなんか、弾いててたまらないものがあった。昨日は空回りしてた歯車が今日はピタッとはまった感じ。大げさなアクション連発のシモノフ・ オン・ステージだったけど、今日は満足。良かった。上手く演奏会が終わると、ついつい呑んで帰りたくなる。ホールから駅までの道すがら、気になるお店に後 ろ髪を引かれながら泣く泣く新幹線に乗った。

8.26 昨日は福井で演奏会、前日から金沢に入り、福井公演後もレンタカーを飛ばして金沢に戻った。お目当てはいつもの寿司屋。大将に「久しぶりヤネ」と声をかけてもらい、一通り食べて満足。 そして今日は岐阜、国際会議場という新しい建物での演奏会だった。最近、音響の良いホールが全国各地にできて、弾くのが楽しみなホールが増えてきた。昨日 の福井も素晴らしいホールだった。岐阜のホールは響き過ぎって感じがあるが、あと数年すると落ち着いてくるんではないだろうか。今日は反対側の音がワンワ ン響いて聴き取りにくかった。 本番が終わったら当然呑みに出る。ホテルで一人でも飲みに行けそうなとこを聞いたが、結局パッと見て良さそうなところに勝手に足が向いてしまう。家庭的な お店で、明朗会計も嬉しい。隣で呑んでいた御老人が「演奏会の帰りだ」と、店の大将と話していた。見るとNHKのパンフレットを持っている。もしやN響を 聴きに来てたのでは・・・?と思ったが、何も聞かないうちに帰ってしまった。地方で演奏会後に一人で呑みに行くと、N響を聴きに来て下さったお客さんと出 くわすことが多い。その時いろいろ話が盛り上がると、次回も同じお店で再会することを約束したりして楽しみが増える。青森の「五事」さんもそのうちの一 つ。今日はあいにくそういうことはなかったが、これだから演奏会後の一人呑みは楽しいのだ。


8.24 昨日は夏休み明けのN響演奏会が盛岡であった。盛岡といえば毎年数回、トレーナーをしにお世話になっている岩大があるところ。普段エラそうなことを言って いる手前、聴きに来た学生の前ではちゃんとしなければいけない。休み明けでペースがいまいちつかめない上に、変なプレッシャーを自分でかけてしまったため 前半は緊張感たっぷりだった。後半のチャイコフスキー:5番になってやっと落ち着いた感じ。そうなると、シモノフの指揮ぶりが俄然楽しくなってくる。徹底 して、体全体、顔全体で表現を求めてくる。見ててついつい吹き出してしまうけど、本人はいたって大真面目。やっててとても楽しかった。休み明けのリハビリ にちょうどいいかも。なんか、強引に揺すられ起こされた感じだ。 本番後は行く前から決めてた「網玄」へ。総勢7名の大人数で飲み食い。あそこは一人前でも量が多めなので、大人数で行ったほうがいろいろ楽しめて良い。大 将にいろいろサービスしてもらい気持ち良く呑んだ。お陰で、布団に入らず、顔も洗わず、洋服を着たままで寝てしまい、朝6時になってやっとベッドに潜り込 んだ。

8.19 昨日は高校時代からの同級生と久しぶりの飲み会。昔はしょっちゅう繰り出していた上野の仲町通りに向かう。お盆でしかも明日から仕事が始まるためか、仲町 は客引きのほうが通行人より多い閑散としたもの。お目当てのお店が閉まっていたため、ありきたりのチープなお店で鱈腹食べた。その後、上野駅構内のドトー ル・コーヒーでお茶をした。昔は毎日のように飲んでいたコーヒー、ある時から飲むと心臓がバクバクするようになりそれ以来なるべく飲まないようにしていた のだが、昨日はなんとなくアイス・コーヒーを飲んだら、家に帰るころ気持ち悪くなってしまった。どうやら未だに体が受けつけないらしい。帰ってから麦茶、 水、麦茶、水とガブ飲みしても、気持ち悪いのと頭が痛いのが治らなかった。夜もなかなか寝つけなかったし、朝になってもちょっと違和感がある。けっして酒 を飲みすぎた訳ではない。普段よりは控え目にしていたし。困ったもんだ。
明日からはN響が始まる。ロシアの楽しい指揮者、シモノフの登場。休み明けは、どうしても感覚が戻らなくていろいろ戸惑ってしまう。そ ういえば、ドイツのオケも休暇明けはグシャグシャで酷いという話しを聞いたことがある。休み中、まったく楽器に触らない人もいるとか。日本はそんな事はま ずないけど、どのくらいグシャグシャかちょっと興味ある。今日はゆっくり基礎練習でもしよう・・・。

8.16 北見で演奏会が終って、しばし夏休み。毎日楽器も持たずゴロゴロしたり、雑用に追われたりの毎日だ。免許証の更新に出掛けたら、あまりの人の多さにウンザ リした。お盆になって急に人が増えたって係の人も言っていたし。諸手続をすませるだけで約1時間、それから違反講習を2時間受けた。前回更新手続きをして から無違反なのになんで2時間も講習を受けなきゃならないのかよくわからん。規定だからしょうがないんだろうけど、前回は30分程度の講習だったのが2時 間かい!って感じだ。道路交通法の改正で飲酒運転の罰則が強化されたとか携帯電話は運転中使用禁止(ハンズフリーは除く)などなどの話しを聞いてきた。新 しい免許証を受け取り、駐車場からでるのも長蛇の列。早速携帯片手に運転してる人がいて、この人は何話を聞いていたんだろうと思う。ついさっきまで交通事 故の映像をたっぷり見せられたせいか、帰路は事故をしないようかなり気にしながら運転、家をでてから7時間後の帰宅だった。 最近は風が、心地よく吹いてちょっとホッとする。特に今日は昨晩に降った雨のせいか、冷房なしの生活ができる。立秋を過ぎたら本当に秋に近づいてきた。

8.11 今日、北見芸術文化ホールでの「N響メンバーによる弦楽四重奏」が終わった。今回は本チャンの演奏会の前にいろいろとミニ・コンサートがあったが、それぞ れの会場でのお客さんの反応がダイレクトでとても勉強になった。ミニ・コンサートではポピュラーな誰でも耳にしたことのある曲を選んで、その中に本チャン のプログラムをチョビッと混ぜながらやってみた。で、本チャンの演奏会だが、やはり古典の作品は難しい!!ハイドン、モーツァルトと好きな作品を並べたの に、いざ弾くとなると神経の消耗度が後半のプロコフィエフと段違い。前半が終わった時点で、もう全てやり終えたような気になってしまった。後半のプロコ は、良い意味でハチャメチャで楽しかった。いろいろ冒険もしたけど、やってみてとても楽しい演奏会に出来たと思う。それに、お客さんのとても暖かい拍手に とても気持ち良く演奏出来た。アンコール、3曲もやっちゃったし。ほんと、いろいろ楽しかった。今回の演奏会を成功するためにいろいろお手伝いして下さっ た方々に感謝したい。

8.10 北見に来た。明日は北見の芸術文化ホールで弦楽四重奏の演奏会があるためだ。その宣伝も兼ねて今朝から駅前の東急デパートや商店街でミニ・コンサートを やっている。夜のディナー・ニミ・コンサートもあるので、どこも見物に行くことは出来ない。天気は時折雨がパラつく曇り空。気温18。東京のうだるよう な暑さからは想像できないほど快適な気温だ。真冬に来たらそんなこと言ってられないんだろうけど。先日の佐賀といい今回の北見と、普段東京での時間に追わ れる生活から開放されて気持ち良く過ごしている。いつかこんな街でのんびり過ごせるようになりたい。

8.6 かささぎ室内合奏団とのブラームスはなんとか終わった。本番数日前からずーと緊張していたので、本番当日は逆に淡々とした気分で迎えられた。GPでは初め てみんなの前でカデンツァを弾いたとき周りの視線を感じてしまい汗だくになるほど緊張したので、本番までの時間にもう一度カデンツァをさらい直し。お陰で 本番の方が落ち着いて弾くことができた。去年1月にJR東日本交響楽団と同じ曲を演奏したときより少しはマシに弾けたと思う。前回は体力不足、集中力不足 で最後失速してたので、それに比べれば・・・の話だが。それにしても今回オケ伴でコンチェルトをやってみて、一流のソリストは凄いことを毎日のようにやっ ているんだなと改めて感心した。自分が経験した以上の緊張感、大勢の聴衆、オケマンに囲まれて最高の演奏を提供し続ける毎日・・・、想像しただけでも恐ろ しい世界だ。それを何事もない顔でサラッと弾いてのけるソリスト達に改めて敬意を感じた。

8.2 一昨日、初めてのオケ合わせをした。合わせは夜からなので昼間は暇。ゆっくりホテルで昼食をとってから、佐賀城址公園でアヒルや鴨をぼーと眺める。風が あって心地よい。じーとしていると、鳩が不思議そうな顔をして近寄ってきた。エサを持ってくればよかった。セミが鈴なりになって鳴いている。久しぶりにマ ジマジとセミを見た。近寄っても全然逃げない。九州の人は大らかだというが、セミも大らかだ。それからゆっくり街中を散歩して、軽く練習してからオケ合わ せに行った。 合わせに行くと、昔佐賀大学管弦楽団でお世話になった懐かしい面々に会う。全然変わらない人や貫録のついた人、パッと見て解らない人など様々。初めて佐賀 に来たのはもう12年以上前になる。それぞれ変化があって当然か。芋焼酎を覚えたのもここだった。あの頃は明け方近くまで呑んでもちゃんと朝起きて遊びに 行ったのに・・・と若かりし頃を思い出す。合わせ自体はまだメンバーが全員揃っていないし、お互い探り合いの感じなので軽く通して終わりにした。今日も夜 から2回目の合わせ。そろそろメンバーが揃わないとやばいけどどうだろう。気分がなんとなく落ち着かない。緊張してるみたい。

7.30 昨日は下関での公演を終えたあと、小倉に宿泊。ヴィオラの小野富士さんと去年12月13日に行ったお店に呑みに行った。今回は食べたものを全部書き留めて 来なかったけど、いや~~~~凄かった。鱈腹、至福、満腹、ブクブク・・・。怒られそうなので全部書かないけど、こんな時期にま○×△の土瓶蒸しを食べた のは初めて。毎年食べ損なうのに、もう初物を堪能した。 そして今日は小倉から快速電車で鳥栖まで、そこから各駅停車に乗り換えて佐賀に入った。明日からかささぎ室内合奏団とのリハーサルが始まるからだ。ちょう どホテルのチェックイン時刻に到着し、3時過ぎから3時間ほど練習。今さら足掻いてもどうしようもないのだが、細かい音程をチェックしながら落ち着いて練 習するよう心掛ける。徐々に楽器が鳴ってきて嬉しくなる。明日のリハーサルが楽しみだ。 練習を終えてホテルに戻り、さっとシャワーを浴びてマッサージを頼んだ。身体がほぐれたところでこれから夜の街に繰り出すところ。何と贅沢な一日だ。やっぱり締めはラーメンかな。

7.28 昨日は「N響夏」大阪公演がシンフォニーホールであった。指揮者は先日と同じアルブレヒト。この人、練習中によく喋る。練習時間の3分の1くらいは彼が話 しているんじゃないかと思うほどだ。おまけに、「じゃ、練習番号××から」と言ってこっちが楽器を構えて準備しているにもかかわらずまた別のことを話しだ すもんだから、精神的によくない。意図するところはとてもよく解るし、シューベルトも新全集からいろいろ新しい解釈を出して個人的には興味深い。話さなけ ればよい指揮者だと思うのだが・・・。 終演後、同級生たちと飲むために京都に向かった。途中電車をいくつか乗って感じたこと。それはたくさんの人が電車から降りようとしているのに、そのすき間 を縫って乗り込もうとしてくる大人が多い。子供がやるならまだしも、いい歳した大人が空いた席に座るために必死になって乗り込んでくる様は飽きれるのを通 り越して滑稽だ。だって目が血走ってるんだもん。 怒りついでに先日とある宿泊施設に泊まったときのこと。そこは厚生年金の施設(以下P)で一般のホテルより格安で宿泊できるし、できてすぐのきれいな宿。 市街地から地下鉄に乗って15分くらいなので、便はよくないけどまあたいしたことではない。そのPに泊まったとき、当日になって「門限がある」だと。こっ ちはそんなこと予約時には何も聞いていないしすでに予定も入っている。その門限に間に合わないことを伝えると、受付の方々も「予約時にお話しなかったのは こちらのミスですから、それなら仕方ないですね」と皆丁寧に応対してくれて、円く話が収まりかけたとき、そこの管理人のような人が出てきて「それじゃ困 る、こっちは朝5時に起きて仕事をしなければいけないのに遅く帰ってこられたら寝る時間が減る、門限に間に合わないならいっそのこと別のホテルに移ったほ うがいい、ウチも格安でやっている以上我慢しろ・・・」などの酷い言い方。あまりの言い方にこっちもつい頭に血が上ってしまった。公共の施設だろうと、 そっちが設定した料金を払って宿泊するんだから「格安だから」は理由にならない。夜間時間受付の入り口もちゃんとあり、インターホンには「ご用の場合はこ ちらにどうぞ」とも書いてあるのに使わない。せっかく他の方々が親切に応対しているのに、その人1人いるだけで感じは最悪になるし、もう二度と泊まらない だろう。一生懸命働いている周りのスタッフが気の毒だ。 そんなことを書いているうちに今日の公演地、呉に着いてしまった。


7.23 昨日はサントリーホールでマーラーの6番1曲の演奏会、指揮はマルク・アルブレヒト。この人、お父さんがつい最近来日していたG.アレクサンダー・アルブ レヒトで、かつてN響を振ったのをテレビで観たことがある。彼の棒は見た目、アバドを意識しているのかなと思っていたらやはり、グスタフ・マーラー・ユー ゲント・オーケストラでアバドのアシスタントからキャリアを始めたとか。なるほど、と納得。音楽作りはそれほど判りにくいわけじゃなく、共感を覚える所も 沢山あった。多少、テンポの変わり目などが判りにくいのが困ったけど、大きな流れに身を任せてしまえば、割とすんなりハマっていった。マーラーは何度も やっているとはいえ慣れた曲とは言えないから、その辺がクリアされればもっと面白さがわかってくるのかも知れない。 最近はヤンソンスや、ヤルヴィ、ザンデルリンクなど優秀な指揮者二世がどんどん増えてきた。指揮者になるのは簡単だけど、ちゃんとした活躍のできる指揮者になるには並大抵のことではない。やはり音楽的な下地があるからこそ二世指揮者として大成できるのだろう。

7.17 13日の「イケるジャン・クラシック」の本番後、かなりの雨のなか車を飛ばして仙台へ。まず親友の佐々木(仙台フィル首席ヴィオラ)と飲み会。彼と会うの は4月のEnsemble SUOMI以来だ。学生時分はいろいろバカなことをやったが、今は楽しく地鶏の美味しいお店で大人な飲み会。 そして翌日からドイツに住んでいる妹が一時帰国したのを期に、二泊三日の家族旅行。接近してきた台風7号の影響から雨が降ったり止んだりのあいにくの天気 だが、まず塩竈で寿司を食べて、市場でカツオとイカ、キンキの干物、アサリ位の大きさのシジミなどを注文して、松島見物に。初めてゆっくり見たけど、キレ イなとこだ。水があまりキレイでなかったのが惜しまれる。これも台風の影響かな。ついでなので奥松島まで足を延ばし、海岸を歩く。入り江の奥ではかなりの 波が打ち寄せてきて、岸壁の侵食が激しい。護岸のテトラポットに打ち付ける波の音が低く響き、威力を感じる。空が曇ってきたので車に戻った途端、大粒の雨 が降りだしあっという間に道が川のようになってしまった。仙台に戻ったら、当然お楽しみの夕食、仙台といえば牛タン!佐々木に教えてもらったお店に行っ て、嫌というほど牛の舌と戯れた。 翌日はまず平泉の中尊寺に向かう。やはり天気は雨模様。足を踏み入れると参道の両わきに杉が立ち、重々しい雰囲気が気持ちを引き締める。一つ一つゆっくり と見て、お目当ての金色堂。現在は新しい建物の中にガラス張りで保存され、あまりのピカピカ具合にオモチャのように見える。中に奉ってある仏像群が唯一時 代を感じさせていた。隣にある宝物殿に入ると巨大な仏像が三体並び圧倒されるが、後から来た団体客のあまりのうるささにゲンナリしてしまう。飾ってある曼 荼羅のコピーをバシバシ叩くわ、仏像の前で茶化すし、おまけに酒臭い。旅行会社はいくら有名な観光地だからといって、最低限のマナーを守れないようなら連 れて来ないで欲しい。 その後厳美渓を廻って、一ノ関の「白糸納豆」を購入(とても美味しかった)、夜は例に漏れず三陸の魚を堪能した。

7.11 凄い台風でしたね。昨日はPMFから無事帰ってきました。今回は青森から始まった飛行機トラブルに見舞われてたため帰京も心配だったけど、朝9時半発の ANAでほぼ定刻に羽田に着き一安心。それにしても凄い湿度に嫌気が差して、クーラーをずーとかけて一日を過ごした。札幌もあまり天気は良くなかったけ ど、これほどではない。亜熱帯地方というかアジアというのを実感してしまった。 札幌の演奏会後、学生時代に古楽バンドをやっていた知人にばったり会い、そのまま一緒に飲みに行き、学生時代の懐かしい話や、誰それが今ドコにいる・・など楽しい一時を過ごした。また札幌に行った際には是非呑もうという約束をして別れた。

7.7 昨日はウチの奥さんが弘前で仕事があるというので、遊びに行こうと朝の飛行機で青森へ飛んだ。ところが折からの悪天候で着陸できず、45分程上空を旋回し てから終いにゃ函館空港に連れていかれてしまった。ここから弘前まではどうやっても4時間近くかかってしまう。明日中に札幌に入らなければいけないので いっそのことこのまま札幌に向かおうかとも思ったが、楽器も預けていてすることもないので弘前に向かうことにした。空港でいろいろ手続きに手間取り、無料 代行バス乗り場に行ったらすでに発車した後。近くにいた函館駅行きのバスに飛び乗ったら、市内をぐるぐる回っていくやつで駅まで1時間近くもかかってし まった。乗ろうと思っていた快速「海峡」号で弘前まで行くには青森で40分ほど接続待ちして、しかもその後は各駅停車で16時6分着。約1時間半後に出る 特急「はつかり」と「かもしか」に乗り継いで向かうのも16時11分着で時間はほとんど変わらない。となるとお腹も減ったし、さっそく駅前の朝市に向か う。いろいろ海の匂いが食欲をそそる。近くにあった回転寿司に入って、いか・イカげそ・イカみみ・イカそうめんを立て続けに食べ(イカが大好物なんで す)、その後もニシンやさんま、ヒラメなどを食べて短く函館を満喫し、弘前に向かった。満腹になると当然睡魔が襲ってきて、ウトウトしてたら青函トンネル を抜けていた。青森で特急「かもしか」に乗り換え当初の予定より6時間遅れて弘前着。夜は地元のオケの演奏会を聴いて打ち上げにも参加し痛飲した(演奏も してないのになんでやねん)。 そして今日はオケのメンバーの方の案内で十和田湖を観光してから、夜7時55分千歳行きの飛行機で札幌に入る予定だったが、昨日のこともあるし17時15 分発の特急列車で札幌に向かうよう変更。ところが、一日のんびりと過ごし特急に乗るべく青森駅に向かったら、途中観光バスがノロノロと走っていたためか、 それとも十和田湖で怪しげな宗教団体の儀式に見とれてしまったためか、タッチの差で特急に乗り遅れ(約3分)。ちょっと時間の感覚が鈍っていのも事実か。 仕方なく再び飛行機に切り替え、青森空港へ。空席もあり列車で6時間架けるより空路で45分、ササッと飛べばいい。昨日は雲でびっしり覆われていた空も、 今日は時折晴れ間もあり「今日は飛行機、大丈夫だね」と話しをしていたのだが、なんと、今度は千歳上空が濃い霧のため天候調査中だぁ~。着陸不可の場合は 青森に引き返すだと。ヤバイ、明日のリハに間に合わなくなる。青森に引き返した場合、夜10時までに戻らないと11時8分発の夜行急行「はまなす」に乗れ ないし、明日の札幌行き第1便は午後発。函館空港に降りられないのかと係の人に聞いたら、空港の営業時間外になりそれも無理だそうだ。朝の特急に乗っても 札幌には午後1時3分着でこれも駄目。最悪の時はいったん羽田に飛んでから札幌に入るしかない。これでもリハにはギリギリ間に合うかどうか。もうすでに荷 物を預けてしまった以上、諦めるしかなく後は運を天に任せて搭乗。約30分で千歳への着陸態勢に入ったのに、なかなか降りる気配を見せず10分経過、そし て意を決したように急降下を始め雲のじゅうたんの中に突っ込んでいった。何かに纏わり付かれるように飛ぶ飛行機を、心の中で「突っ込め~、突っ込 め~・・・」と密かに応援。すると突然カラフルな照明が見えてきて無事着陸。こりゃ確かに濃い霧だ。よくぞやった、と機長その他スタッフにまたもや心の中 で激励。いや~、今日一日で本番3回分くらいのヒヤヒヤ・モードを味わった。今は札幌に行く快速「エアポート」でこれを書いている。地上は安心できて心地 よい。やっぱり鉄道は偉大だ。それにしても青森と北海道、近いようでまだまだ遠いんだなと改めて実感した。

7.3 今日のオーチャード定期では、ソリストが急病で曲順が変更になるハプニングがあった。いつも通りステージに上がり「ナブッコ」序曲を弾き終え、次のバンド ネオン協奏曲のセッティングも終ったのになかなかソリストが現れないのでどうしたのかな?と思ってたら、ステマネからの指示でステージからハケることに なった。しばらく様子を見てたけどすぐには無理のようなので、急遽メインのブラームスを先に演奏することになった。普段よくやる曲でも、こうしたことがあ ると初っぱなからエンジン全開とはナカナカいかない。個人的に2楽章あたりまで落ち着かなくて、ドキドキしてた。多分指揮者も同じ気持ちだったんじゃない かな?それでもだんだんエンジンがかかってきて、最後にはかなり盛り上がってきた。ルイージはとてもきっちり練習するけど、本番ではあまり細かいことにこ だわらず開放させてくれる。弾いていてとても熱いもの感じた。やっぱりいい指揮者だ。 ブラームスが終ったときにはソリストも体調が多少良くなったようで、その後無事協奏曲を演奏し終えた。明日と明後日、市川と秦野の演奏会も同じプロである。

7.2 今日はファビオ・ルイージ登場、明日からのオーチャード定期他でブラームスの交響曲第1番ほかの練習をした。去年のブルックナー第7番の印象がとても強 く、とても楽しみにしていた。とても要領がいい中で、彼のやりたいことは十分に伝わってくる。印象に残っているのは、冒頭の弾き方。ここは個人的にいつも 居心地が悪かったのだが、今日の練習でなるほどと納得させられた。やっぱりそうか・・・、って感じ。いったい何を言ったかは秘密だけど。他にも第4楽章の pizz.を4ツ振りでいったり、最後のテンポ設定とか、しょっちゅうやる曲だからこっちもついついやり慣れている演奏になりがちだが、少ない練習で彼の 世界に持っていってしまった。予想通りというか、やはり只者ではない感じがした。本番になると、もっと盛り上がるんだろうな。明日からが楽しみだ。 今日はその後、つくば学園都市オケの弦トレに行ってきた。曲はブルックナーの8番。朝比奈さんでやって以来なのですっかり忘れていたけど、いい曲だ。オケもなんかいい感じになってる。みんな好きなんだろうな、あの曲。

7.1 ワルベルクのベートーヴェン、何とも言えない良い雰囲気があった。彼が振ると無理のないというか、響きが柔らかいというか、とっても良い音がする。弾いて いても変な緊張感がないし、無理やりゴシゴシ弾かされることもない。テンポは総じて遅めだけど、飽きたりダレたりしないのが不思議。あるがままのベートー ヴェンというのかな、年輪を感じさせる棒だった。久しぶりにゆったりとした気分になったベートーヴェンだった。 今年も気がついたら半分が過ぎている。今年はQuintetto AlberiLibera! Chamber Music Seriesも予定がないので、ホームページの更新も去年のままでほったらかしにしていた。これからちょっとづつもう少し見やすいページにしたいけど、い つになることやら・・・。