2014年12月blog

◆12月27日《今年は第9を5回弾きました》
フランソワ・クサヴィエ・ロト指揮で、計5回演奏しました。5回すべてが新鮮な体験でしたが、特に初日の、未体験ゾーンに初めて踏み入れたような感覚は忘れられません。また、最終日はサントリーホールに移って演奏しましたが、NHKホールより音響が数段上、ステージのサイズも丁度いい、合唱やソリストも近くに聴こえる等々諸条件も相まって、凝縮した感じがとても気持ちよかった。ホールも大きな楽器の一つなのだと感じました。
演奏面では、第3楽章Baerenleiter版だと練習番号「B」のトランペットのファンファーレのあとにDes-Durになるところで、いつもは弓を返したりして音量たっぷり、2nd.Vn.のppも大きめに演奏することが多いところを、弓を返さず減衰するまま任せると、モノトーンのようなとても空虚な空間が広がったのが特に印象に残りました。あのTempoでないとそうはならなかったでしょう。やはり楽譜を忠実に再現するところからすべてが始まるのだと、再認識しました。


ベートーヴェン「第9」演奏会
フランソワ・グザヴィエ・ロト指揮 N響
安藤赴美子(S) 山下牧子(A)福井敬(T) 甲斐栄次郎(Bs) 国立音楽大学合唱団



◆12月22日《ロト指揮の第9》
クサヴィエ・ロト指揮で第9の初日終了。第九は100回近く弾いていると思うが、久しぶりに納得できたというか、初めて第九を弾いた時に味わった感動が蘇ってきた。素晴らしい音楽体験だった。ロト、素晴らしい!!



◆12月18日《三峯神社》
完全オフのこの日、再度三峯神社へ。
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登山道はところどころ雪が残っていたので、慎重に運転をして無事到着。気温は−1℃。寒い。
でも、ここは清廉な気が充満していて気持ちいい。パワーをいただいて下山。

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帰りは音楽寺にもお参りしてきた。こちらは秩父ミューズパークの近くにあります。
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◆12月14日《デュトワ指揮新世界》
N響定期でデュトワ指揮の「新世界」他のプロ。珍しい選曲。「新世界」は15年ほど前に取り上げて以来かな。高校生の時に聴きに行ったデュトワ指揮ハンブルク北ドイツ放送響来日公演でやったのも「新世界」だったから(もう一曲はなんと「ツァラトゥストラ」)、レパートリーに入っているのだろうけどドヴォルザークは珍しい。交響曲第8番とか7番とか、演奏している姿が想像つかない。チェロ協奏曲はよくやるけど…。そして前半の武満はともかく、ベルクの協奏曲はもっと珍しい。
やり慣れた曲とは言え、「新世界」は難しい曲だ。はっきり言ってあまり好きではない。だって難しいから。どの楽章も難所があり、気が抜けない、勢いでいけない。今回もデュトワの要求は厳しく、第2楽章は今までで1番遅いのではないかというくらいじっくりと攻められた。でも、終わったあとの解放感は格別。来週は降り番なので、久しぶりに痛飲した。



◆12月11日《ドイツ・カンマーフィル》
10日、11日とオペラシティに、P.ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルのブラームスを聴いてきた。
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ヤルヴィとのベートーヴェン:交響曲全曲演奏会でかなり話題になった室内オケだが、今回はブラームスの交響曲全曲に4つの協奏曲、2つの序曲、ハイドン=ヴァリエーションを組み合わせたツィクルスで来日、その初日と2日目を聴いた。
弦楽器は10,8,6,6,4の編成で、ヴァイオリンが向かい合わせの対向配置。ティンパニは2nd.Vn.の後ろに、そのとなりにトランペットという配置だった。初日はピアノ協奏曲第1番と交響曲第1番の組み合わせ。ピアノのソリストはラルス・フォークト。この日は座席が1階の最後列で、屋根の下ということもあり、前半のピアノ協奏曲ではオケの音があまり飛んでこない。編成が小さいからかな、とも思いながら長大な前奏が過ぎ独奏が入ってくるころにはだいぶ耳も慣れてきた。フォークトは好きなピアニストの1人。彼の主宰するハイムバッハ音楽祭のCDもお気に入りでよく聴いている。この日も切れ味鋭いタッチでぐいぐいと進む。特に左手の動きが明快で、どこに向かっているのか、どう進もうとしているのかわかりやすく、曲の構成感がはっきり見える。それに刺激されたのかオケも徐々に鳴ってきたようだった。第3楽章になるとオケもいい感じで盛り上がり、最後は盛大なブラボーも飛んでいたが、全体的にはもう一歩深い絡みというか、やり取りが聴きたかったかな。第2楽章ではppの美しさも素晴らしかったけど、もうちょい入り込みたかった気がする。これも屋根の下じゃなかったら違ったかも。あと、見えなかったので定かではないが、2楽章の終わりのヴィオラのメロディ、Soloで弾いてた?この日はNHKのテレビ収録があったので、そのうち放映されるかも知れないから見てみよう。
休憩中にステージの近くに行ってコントラバス奏者の音出しを見ていたら、クラシカル弓で弾いていた。ヴァイオリン等は遠すぎてよく解らなかったが、これもテレビで見れるか。
後半の交響曲第1番、室内オケらしく快速テンポで引き締まった演奏。とにかく弦楽器はみんな弾きまくる。10型で充分じゃないかと思うくらい、管楽器とのバランスもバッチリ。ヤルヴィも気持ちいいだろうな、反応がダイレクトに返ってくると。1番の曲調とオケのカラーがマッチして、大いに盛り上がり素晴らしい演奏だった。2楽章のヴァイオリンのソロも超美しい!女性のコンマスだった。前半に感じたオケの遠さも後半は問題なし。アンコールはハンガリー舞曲を2曲、大サービス。これは明日も楽しみだ。

翌11日は、ハイドン=ヴァリエーションにヴァイオリン協奏曲、交響曲第2番という大好物3曲。この日は2階席だったので、1曲目のヴァリエーションからよく音が聴こえる。編成は昨日と同様。もっさり聴こえやすいこの曲でも、小回りの利いたスポーティな演奏。ドイツだけにVWのゴルフGTIみたいな感じ?続くヴァイオリン協奏曲、ソリストはこれまた大ファンのテツラフ。髭を生やしてワイルドな風貌になっていたが、演奏もかなりワイルドだった。彼の弾くブラームスのCDを持っているが、その演奏とはだいぶ雰囲気が違う。ライヴの高揚感ならではなのかもしれないが、テンポもかなり速く、そこまでアグレッシブじゃなくても…と思ってしまった。盛んなブラボーに応えて、アンコールにバッハの3番のソナタから3楽章。これは一転してしっとりと語りかける演奏。絶品。言うことなし。素晴らしかった。
20分の休憩後、交響曲第2番。オケはホールにも慣れてよく鳴っていた。やっぱり2階席の方が良い。今日も皆さん、弾きまくり。そうだよね。いかにも血が騒いでる感じ。そうなると誰にも止められない。ヤルヴィは上手く火を操る中華料理の達人に見えてきた。この日も大いに盛り上がり、アンコールは昨日とは違うハンガリー舞曲をやはり2曲の大サービス。満腹。
この後の3番、4番は仕事の都合で聴きに行けなかったが、充分満足した2日間だった。たまには演奏会に行かないといけないとも思い反省。何しろ、オペラシティの客席に座ったのはかれこれ10年ぶりだったし。演奏からいろいろ得ることが多かった。



◆12月7日《ドビュッシーのペレアスとメリザンド》
5日と7日はN響定期公演で、ドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」、休憩を入れて3時間20分の本番だった。
初めて演奏するので、ざっとあらすじを頭に入れて挑んだ。簡単にいうと、ゴローの奥さんであるメリザンドと、ゴローの弟のペレアスが不倫関係(おそらく)になり、最後は弟(ペレアス)が兄(ゴロー)に殺され、奥さん(メリザンド)も子供を産んで亡くなってしまうという、なんともドロドロとした物語。普通の感覚からするともともとはゴローは被害者なのに、これに音楽がつくと重厚で暗いゴローの音楽に対して、ペレアスとメリザンドの場面では明るく軽やかで、ペレアスたちを応援したくなるから不思議だ。今回はデュトワはもちろん素晴らしいソリスト陣のおかげで、フランス・オペラの色合いの多彩さ、細かい心情の変化など、フランス語の全く解らない僕でも雰囲気だけは十分楽しめた。
最後のメリザンドが産んだ女の子が誰の子なのか、ちょっと気になる。字幕を追っている段階ではその辺の細かい描写は解らなかった。
写真は舞台袖に用意されていた、歌い手さん用のお水。スタッフの細かい心遣いがいいねぇ。
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シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団
ペレアス:ステファーヌ・デグー
メリザンド:カレン・ヴルチ ゴロー:ヴァンサン・ル・テクシエ アルケル:フランツ・ヨーゼフ・ゼーリヒ イニョルド:カトゥーナ・ガデリア 医師:デーヴィッド・ウィルソン・ジョンソン ジュヌヴィエーヴ:ナタリー・シュトゥッツマン 合唱:東京音楽大学
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散歩途中で見かけた、日なたにたたずむ猫。寒いからねぇ。