2006年1月〜4月の旧酔っ払いの戯言
2006年01月27日カテゴリ:旧酔っ払いの戯言
4.16~23までヨーロッパに行ってきました。 22日 今日は土曜日でお店が早く閉まってしまうので、必要なものはそろそろ買っておかなければいけない。何しろ明日は帰国日 の日曜日。楽譜や音楽資料は午前のうちに買わなければいけないので、ドブリンガーへ。モーツァルトの弦楽三重奏曲(未完の作品をF.バイエルが補完したも の)とレーガーのトリオ、それに怪しげなタネイエフのトリオ他を購入。 お昼ご飯は雫石で演奏会を一緒にやる鈴木理恵さんと地元の人ならではのお店で食事。今年も8月25~27日に「第2回しずくいし夏の音楽祭」をやるので、 その打ち合わせ。3時間ほど話し込んだ。その後、夜のウィーン響演奏会まで少々時間があったので、中央墓地へベートーヴェンのお墓参りに行く。 夜はウィーン響のムジークフェラインでの演奏会、本来ならサヴァリッシュが振るはずだったプロ(ハイドンのG-Dur、ブリテン:ヴァイオリン協奏曲(B.シュミット独奏)、モーツァルト:Es-Dur)を そのまま代役のM.ホーネックが引き継いだ。手に入れた席はOrchesterと呼ばれるオーケストラのすぐ後ろの席で、ヴィオラの楽譜が読めるくらい奏 者と近い席。こんなに近くても音的に何も問題がない、というかとても素晴らしい音色に圧倒される。ムジークフェラインの完成度なのか、ウィーン響の実力な のか。独奏のシュミットはブリリアントな音色がこの協奏曲ととてもマッチしていて、最後まで一気に聴かせてくれた。テクニックも相当なもので難しいパッ セージも見事に決めていた。協奏曲におけるオケは伴奏に廻りきらずソロと対等に協奏、しっかり盛り上げてた。 ムジークフェラインのポスター、上は来月のウィーン響定期、下はアバドとマーラー・ユーゲント・オケの演奏会。 終演後、ウィーンでの師匠クリスティアン先生のご自宅を訪問。先生はこの日デトモルトから6時間かけて夜10時頃に帰ってきたばっかりだったのだが、お疲 れの中わざわざ時間を作ってくれた。小一時間ほどお邪魔してから、失礼する。今回のウィーン旅行も、これでひとつ区切りがついた。帰り道、日本料理や「朝 日」で最後の晩餐。ここのお母さんはとても親切で気持ちいい。閉店時刻を過ぎてもゆっくり食事を楽しんだ。 21日 朝起きてからシェーンブルン宮殿で散歩。そのままU4でケッテンブリュッケ ン・ガッセで降りて、ナッシュマルクトをぶらつく。果物、野菜の色の鮮やかなこと。春の訪れを感じさせてくれた。シュパーゲルも並んでて思わず買いそうに なるが、日本にもって帰るのは難しいので諦める。ナッシュマルクトからセセッシオンへ、クリムトのベートーヴェン・フリーズを見学。100年も前にこんな 建物、そして絵画が描かれていたと思うとその斬新さは驚異だ。お昼ご飯はりり子ちゃん、 Georgのお勧めのお店でKokoro。美味! 今夜もOperで「トリスタン」を見に行く。今回の指揮はドイツ物ならなんでもござれのP.シュナイダーで、2003年に新演出になった(その時はティー レマン指揮、CDにもなってます)舞台の通算21回目。トリスタンがスミス、イゾルデがポラスキ、マルケ王はサルミネン(凄かった!)等の配役。3幕のは じめ40分は死ぬ寸前のトリスタンを散々歌わせたわりには、イゾルデが来てからはあっという間に終わってしまうのはバランスが悪いなあなんて思いながら も、最後はやっぱり感動するね。キュッヒルとシュトイデのコンマス筆頭に弾きまくってた。シュナイダー指揮だと昨日とはまた違って、いつもの落ち着いた響きに戻っていた。 20日 朝は王宮を散歩してから、シュターツオーパーの博物館に行ってみる。留学中に は無かったここは昔、劇場のチケット売り場だった。よくここまでチケットを買いに来たなぁ、と思いながら入ってみたらいつの間にかMuseumになってい た。Operが戦後1955年に再建されてから50年間の歴史を、だだっ広い円形の広間の壁一面に写真付きのパネルで振り返っている。入り口で貰える日本 語の説明書(たんなるコピーだが)は歴代の総監督の歴史が説明されていて、それを見ながら廻ると本当によく判る。クラリネットの譜面に書かれたアバドの酷 い風刺画は一見の価値あり。中心部あたりの壁には、ある一週間のオーケストラの出番表が書かれていた。 そうこうしているうちに、N響のティンパニ奏者久保さんがウィーンに到着。お昼ご飯をご一緒する。行った先は昨年N響ツアーの際に連れていった僕のお勧め の中華料理やさんで、みんなが「こんな美味いラーメンがウィーンで食えるなんて!」と言うほどそこのラーメンが絶品なのだ。注文してから職人さんが手で麺 を延ばす麺に揚げた鳥肉が乗っかり、スープはこれまた日本人好みの和風アッサリ出汁。ここは鳥肉ラーメンが一番美味い。シーフードラーメンはココナツ風味 のカレーベースになっているので好みが分かれる。 パーコー麺の鳥肉版 夜はムーティの「フィガロ」。序曲からして溌剌として、お~っと感動。オケがムーティの音にどんどん変わっていって、濃厚な響きに充実感満点。歌はケルビーノを歌ったエリーナ・ガランチャが特に素晴らしかった。コンマスはヒンク、再度がザイフェルトかな? 終演後、ウィーンに留学中のT.ちゃん(今回のチケットを取ってくれた、ありがとう!)、久保さんと夕食を食べに行ったのだが、閉店間際でパンとスープ類 しか出して貰えず欲求不満。もう1軒ビールを飲み直して程よく酔っ払い気分も直る。このビヤホール1516にはアルコール検知器が置いてあり、備え付けの ストローで検査穴に息を吹きかけどのくらい酔っぱらっているか数値が出るという代物。1回1オイロ。ちなみに二人とも酔っ払いの赤ランプが点灯、久保さん が1.12?、僕が0.94?くらいの数値でした。 これがアルコール検査器。真ん中の黒い丸の中にストローで息を吹き込みます。判定は上のデジタル数値と、下のランプが点灯した色で判断。 酔った勢いでやってみました。ちゃんと酔ってました。 19日 ウィーンに来たらいつもお決まりなのだが、ベルヴェデーレの庭を通り抜けてまずはム ジークフェラインからOper、そしてケルントナー通りを通ってシュテファンス教会をかすめグラーベンへ。ぶらぶらリンク内を歩きながらどこに行くか考え る。やはり僕にとって聖地であるハイリゲンシュタットにまず最初に行くべきだと思い、Strassenbahnに乗る。ベートーヴェンの有名な遺書を書い た部屋には観覧時間ギリギリに間に合い、しばしベートーヴェンに思いを巡らす。受け付けのおじいさんがとても親切で、ウィーンの Museumガイドをく れた。それからBeethoven Gangと呼ばれる小川が流れる小道を散歩。去年来たときは猛烈に寒かったけど、今回は小春日和で最高の天気。将来ここに住むにはどうしたら良いのだろ う、でも飲みに出ると帰るのが面倒だな…など非現実的な妄想をしながらGrinzingまで歩いて、再びStrassenbahnで中心部へ戻る。燕尾服 用の白い蝶ネクタイと旅行用かばんを買って、Mariahilfer通りを歩き、一日歩きっぱなしの約24000歩。ワインを買って夜知人宅へ持っていっ た。 18日夕方チューリヒ発のスイス航空でウィーンに入る。約半年ぶりのウィー ン、しかも今回は楽器無し!僕にとってこの街に旅行するのは、自分を確認しに行くようなもの。演奏会に行って音を思い出し、街を歩いていろんなことを感じ 考える貴重な時間でもある。早速原点のムジークフェラインと青島(中華料理)に行った。 工事も終わり綺麗になったムジークフェライン 朝から小雨模様のなか、ホテルをチェック・アウトし念願のワーグナー博物館へ。バスで10分、更に歩 いて10分で小高い丘の上にある博物館にたどり着く。ここで「マイスタージンガー」を作曲したそうで、自筆譜や手紙など数々の資料が展示してあった。あれ だけの大作を書いていながら、自筆譜がとても綺麗だったのが興味深い。モーツァルト同様ある程度頭の中で出来上がっていたのだろうか。帰り際、来館者ノー トに「しーはや」シールを貼ってきた。 小高い丘の上の博物館。ルツェルン湖の辺に建つ。 17日はイースター休みだそうで、普通だったら開いているお店もかなりの数が閉まって いる。しかも月曜日とあって今回目当てのワーグナー博物館も休み。それでも朝から約4年ぶりのルツェルンの街を散策する。小さな街なので名所や観光スポッ トを廻るのも歩くのに丁度いい。氷河博物館やライオンの記念碑(正確な名前は忘れた)は開いていて観光客が集まってきていた。湖畔沿いをブラブラ歩いてい ると40分ほどで交通博物館に着く。しかしあまりにも湖畔べりが気持ちいいので散歩を続行、そのまま中心部へ歩いて戻る。夜は初代Alberi String Quartetチェロメンバーの入澤百合子の家へ夕飯をご馳走になりに行く。スイス料理のラクレット、チーズを溶かしてジャガイモやソーセージ等と一緒に 食べるシンプルなものだが、チーズが美味くワインとピッタリ。12時過ぎまで昔話に花がさいた。 ルツェルン湖からアルプスの山を望む 16日からウィーンに行ってきた。メインはもちろん演奏会でStaatsoperでのムーティ指揮「フィガロ」とシュナイダー指揮「トリスタン」、そしてウィーン交響楽団の演奏会3つを聴いてきた。 ウィーンに入る前、ちょっと足を伸ばしてルツェルンに2日滞在。ここには高校時代からの友人が住んでいるのと、前回行った際に行きそびれたワーグナー博物 館にどうしても行ってみたかったから。オーストリア航空でウィーン乗り換え、チューリヒまで飛びそこからスイス国鉄で約1時間、夜8時半にルツェルンに到 着。一週間前の話では雪が降ったとか言ってたわりには予想以上に暖かく、日本とさほど変わりない気温。長旅でむくんだ足を引き摺りながらルツェルンの町へ と繰り出す。着いた土地では儀式のようにまずビール!以前N響のツアーで行った美味しいレストランを見つけて入る。ちょうどホワイト・アスパラ (spargel )の時期なのでスープと鴨肉のオレンジソース掛けのハーフ・ポーションで軽めの夕食。やはりここは美味い!5年前の味を思い出し嬉しくなるが、長旅の疲れ がジワジワと出だし早めに切り上げてホテルに戻る。外は急に降りだした雨が冷たかった。 オーストリア航空のウィーン・フィル号後ろはANAのポケモン・ジェット 4.12 ホタルイカの美味しい季節になってきた。春の訪れを感じさせてくれる初鰹やタケノコがスーパーに並びだすと食べずにはいられない。今日近所の魚屋さんに鰹 目当てで立ち寄ったら既に品切れ、代わりに目に付いたのがホタルイカだった。身がブリブリで中にはハチ切れているのもあり、見るからに美味そうなので迷わ ず注文、富山湾内のホタルイカだそうだ。他にも黄肌鮪の赤身も購入。 魚屋恐るべし!スーパーで買っていたのとは月とスッポンほどの差がある。先日デパートの地下食料品売り場で買ったホタルイカも美味しかったけど、今日のは 別格に美味かった。スーパー<デパート<<魚屋。それでいて値段は高くない。スーパーは便利だけど、専門店は便利さだけではないこだわりがあって侮れな い。 4.10 8,9日はデュトワ登場でベルリオーズの「ファウストの劫罰」。さすがデュトワである、2時間を超える作品を完全に体の一部のように振るのは、見ていて感 心するし気持ち良さすら感じる。彼にとってベルリオーズは無くてはならない作曲家なんだろうなあ、あんなにぴったりハマッている指揮者も珍しい、改めて デュトワの能力を思い知った演奏会だった。そしてベルリオーズもベートーヴェンとさほど変わらない時代にあれだけの大作を書いたことも凄い。ワーグナーを 思い出させるような音系や和声があったりするのも興味深かった。 今日はギターとの室内楽作品を2曲レコーディングした。ボッケリーニとヴィヴァルディの作品で、個人 的な録音だという話だったのに行ってみたらちゃんとホールでのセッションだった。1日で録るのであまり時間はなく、とにかく可能な限り音を録っておいてあ とは編集にお任せするしかないが、楽しく演奏できたのでその部分では良かった。仕上がりが楽しみだ。 4.2 N響の神戸、大分、福岡公演を終えて、昨日帰宅。このツアー中は実家のある京都に帰って今後の打ち合わせやら、昔からの行き付け「やよい」、大分ではフグを食べたりとなにかと充実していた。 やよいのマスター それと指揮者のピヒラー!アルバン・ベルク弦楽四重奏団の第1ヴァイオリンとして有名な彼だが、棒はともかくちょっとした瞬間の表情やしぐさが根っからの音楽家を感じさせてくれて、「これは、かなわないな」と痛感させられた。 帰宅した足で昨日はうちの生徒さん達とアンサンブル勉強会と称した合奏を親しむための小さな発表会。小学校に入る前の小さな子供でも、一緒に弾いていると 周りを彼らなりに聴いていて、ちょっとずれても微調整して合わせているのが面白い。みんな解ってないようでしっかり感じ取っているのが良く解る。 只今、NHK教育放送でウィーンの国立歌劇場再開50周年ガラ・コンサートをやっている。普段ピットに入っているオケがステージに上がっているのになんとなく違和感があるが、懐かしさが込み上げてきた。 3.17 全日空のバースデー割引を利用して稚内へ一泊旅行してきた。仕事で北海道に行くことはあっても、稚内へは一度も行ったことがない。この時期どんな感じなの か体験してみたいのと、宗谷岬に行きたい理由で行ってみた。一日1往復の全日空羽田ー稚内線で稚内へ、気温は-3℃、雪で真っ白だった。だが、心づもりが できてたせいか思ったほど寒く感じない。とりあえずバスで市内へ向かう。遅めの昼食をとってからレンタカーで宗谷岬に向かった。40分ほどで日本最北端の 宗谷岬へ到着。駐車場に車は止まっているものの、人は見当たらない。とりあえず記念撮影でも…とカメラを片手に車を降りて歩き出したのだが、強風が吹きつ け思った以上に寒く、あまりの寒さに1分も我慢できない。みんな車の中から眺めている気持ちが良くわかった。セルフタイマーで写真をとるのも、風でカメラ が吹っ飛ばされるので無理。仕方なく数枚写真を撮って車に駆け込んだ。 日本最北端のモニュメント(左) 間宮林蔵像が最北端を望む(右) 日没までもう少し時間があったので、ゴマフアザラシを見に行った。稚内に一旦戻って抜海町へ。稚内市内から空港、宗谷岬へ向かう道路は綺麗に除雪されてい ているが、一本裏に入ると踏み固められた雪がツルツルに凍って良く滑る。ABSが利いてもなかなか止まらない状況はかなり冷や冷やしたが、無事アザラシの 観察ポイントへ。変形のテトラポットに見えるがよく見るとアザラシがごろごろ転がっていた。人に慣れているのか、こちらが見ているとちょっとづつ近づいて きた。 食事前に稚内温泉へ行って日頃のストレスをとる。ちょっと滑り気のあるお湯はタクシーの運転手の話によると皮膚炎やアトピーはもちろん、胃腸にも効き目が あるそうで、昔は地元の人中心の温泉だったとか。それを観光客にも広く利用してもらおうと、建物を新しくして観光スポットの一つとしてアピールをしている とのことだった。1時間ほど入った後は動けないほどにトロトロになってしまい、仮眠室?でごろ寝。ホテルに戻ってからタクシーの運転手に教わった飲み屋で 熱燗を片手に肴をつまみ、飲みたりないのでホテルのバーラウンジを梯子。久しぶりにたくさん飲んだ。 2.28 単行本には糸で撚ったしおりが付いているものとそうでないものがある。本屋さんで紙のしおりを挟んでくれるところもあるけど、僕は糸の付いたやつが好き だ。初めて開いたときに真ん中当たりに楕円形に丸めて挟まれているしおりは、無造作のようで折り目正しく美しく感じる。それが毎日違う場所に挟まれるうち にヨレヨレになってしまう。ちょっと悲しい。 今読んでいる本は志村けんのエッセイ「変なおじさん」完全版というやつ。ドリフのコントから、自身のネタ作り、構成などテレビで見ているシムケンとは違っ た一面が見えて面白い。また人前で演ずるという点で我々音楽家と共通する部分も多く、非常に参考になったりする。彼がドリフに加わった当初は、お客を笑わ せるどころかシーンとなっていたそうである。その時は『ただ無我夢中で、何でも一生懸命やろうとして力が入り過ぎていた。…やっている方に余裕がなくて一 生懸命さが伝わってしまううちは、頑張ってる気持ちがわかる分だけ、見ていても笑えない。(志村けん著【変なおじさん】より)』耳の痛い言葉だ。笑いと音 楽、今年はこれを目標にしてみようかな。 バンコクでだまされて買ったと思っていた燕尾服は無事送られてきた。生地は手触りが良く軽いのでだま されたわけではなさそうだが、どうも形が変。一応燕尾の形にはなっているけど締まりのないダラッとした感じのデザインでこれじゃぁ、人前では着られない。 手直しでどの程度直せるか・・・。 2.22 昨日書いた単行本の名前は「博士の愛した数式」でした。韓国映画のタイトルとごちゃごちゃになってしまいました。 2.21 最近読書にはまってる。今年に入って麻生幾の「ZERO」を読み出し、やっと上中下全三巻を読み終えた。この麻生幾という人は、以前「極秘捜査」というオ ウム事件を基にした警察物を読んだことがあり、ディテールの細かい描写は全部想像しながら読むと頭がパンクしてしまいそうだが、その緻密さは舌を巻く。今 回も警視庁から自衛隊、中国の人民軍…と凄まじい数の登場人物で覚えるだけでも大変だったが、ある程度読み進んだら止まらなくなり、あっという間に読み終 えてしまった。普段は週刊誌程度しか読まない僕としては、この読書熱は自分でもビックリしている。昨日から読み出したのは、最近映画化されたらしい「博士 の頭の中の数式」?だっけ、未だ半分ほどしか読んでないが、静かな佇まいの中に柔らかな寂しさが滲んでくるような感じがする。本によっても、いろんな雰囲 気がでてくるのかとちょっと感動した。 2.16 すみません、更新途絶えてます。 2.9 バンコク最終日、街の喧騒にも慣れたのやら麻痺したのやら。ここでヴァイオリンをやるというのは無理だろうなあ、なんて考えながら街をぷらぷらする。買い 物とも考えたがどれを見てもあまり欲しいものがなく、結局何も買わず終わる。仕上げにタイ式マッサージのお店でフットマッサージを1時間やってもらう。連 日歩き続けた足は心地よい刺激で、あっという間に寝てしまった。お陰でスッキリ。帰国の飛行機は満席で食事もとらず熟睡だった。 2.8 昨日のショックが大きくあまり動く気がしないが、奮い立たせて行動開始。Thailandといえばジム・トンプソン!15年前も連れていってもらったシル クのお店だ。タイシルクのシャツやネクタイ、ドレスのオーダーメードから小物までいろいろ取りそろえてあるここは高級店だけあって、従業員のたち振る舞い はさすがである。ただ、最近物欲がないのか、これが欲しいというものがなく、何も買わずに出てきた。 ジムトンプソンの本店前で地図を広げると、すかさず話し掛けてくる輩がいる。「とりあえず声でもかけとくか、」ってなノリだ。相手にせず、歩いてルンピ ニー公園に行った。ここは街中の喧騒がうそのように、広々として落ち着いた空間だ。バンコクにもこんな良いとこがあるのかと感動、ベンチに座って一休みす る。ガイドブックには「ルンピニー公園は昼間はいいが、夜は物騒で危険だ」と書いてあった。次に向かったのが毒ヘビ・ファーム、公園の裏当たりにある病院 の敷地内にある。病院の入り口で守衛さんに呼び止められ、「ヘビを見たい」と言ったら、若い兄ちゃんが「キング・コブラ~!」とか言いながら連れてってく れた。その兄ちゃん、怪しげな木の実を食べてて、僕にも勧めてくれたが、唐辛子が山のように振ってあって真っ赤。「マンクッ、マンクッ」と名前を教えてく れたが酸っぱいし辛いしであまり美味しくなかった。その兄ちゃんは一人で美味そうに食ってたが。で、毒蛇博物館はちょうどショータイムの真っ最中、牙をガ ラスプレートに押し付けてコブラの毒を搾り出して見せたり、延ばして観客の近くで見せたり、次から次へいろんなヘビを出してきてはなんか説明してた。極め 付けは巨大なニシキヘビを体に巻き付けての記念撮影付き、こういう時、欧米人の若い女性は嬉々としてヘビを巻き付けポーズも決めてにっこり笑う。どういう 神経をしているのか。 今回バンコクに来ようと決めたのは、15年前の思い出から。そのとき、バンコクのチュラロンコン大学の講堂で演奏会をしたのを思い出し、毒ヘビ・ファーム からも近いので行ってみた。本当は中に入ってみたかったが、学生はみんな制服を着ていて観光客がフラフラと入れる雰囲気ではないので断念、近くをうろつ く。そのままショッピング・ギャラリーまで歩いてウィンドウ・ショッピング。夜は疲れたのでホテルで中華、日本円で3000円程度でフカヒレやらエビやら 出てきて狂喜する。フカヒレはやっぱりこっちの方が断然美味い。 2.7 バンコクに行ってきた。今年も500円玉貯金で貯まったお金を元にして、タイ国際航空で約7時間、意 外とかかる。離陸が遅れたせいもあるが。深夜ホテルに入り、翌朝から行動開始。バンコクに来るのは約15年ぶりで、その時は国際交流基金の派遣でいたれり つくせりの旅行だったが、今回は自力。いつも初めての土地は歩いて行動することから始めているので、地図を片手に王宮をめざすがこれが甘かった!いくら歩 いても着かず、おまけに車やバイクの騒音と排気ガスが凄まじい。BTSのナショナルスタジアムから2時間近くかかってやっと王宮にたどり着く。一応敬虔な 仏教徒の僕としては、タイの仏像や建物は神聖なもの。気持を清めてワットパラケオ、ワットポーを参拝した。王宮を出たところで『入場券を見せろ』と話しか けられる。検札かな?と思っていると、『このチケットで、他の寺も見られる、この寺も行ったほうがいいよ。あと今日はスーツ・ファクトリーのセール最終日 だから一応そこも教えてあげる。』と声をかけられ、トゥクトゥク(現地の簡易タクシー)の値段交渉までしてくれ、行った先のお寺では日本企業(みずほ銀 行)に出張で行ったことのあるという人に偶然出会い、最後に『先日カシミヤのスーツを5着作った…』等の話を聞いて、トゥクトゥクにそこに連れてかれて、 なんとなく燕尾を作ってしまった。 ホテルに戻ってガイドブックを読んでたら、『王宮周辺にはうそ八百を並べて宝石商やテーラーに連れ込む連中がいるので相手にしないように』と書かれてた。やっぱりだまされたか・・・。 夕飯は気を取り直して、ガイドブックに載っているフカヒレ・レストランに向かう。一人659バーツ(約2000円)という低価格のお店。道に迷い、近くの ホテルで訊いたら反対の方向に来ていたらしい。タクシーを呼んでもらってレストランに連れていってもらうが、タクシーメーターを倒さない!倒すように言っ たらすぐスイッチを入れたが、どうもこれもわざとらしい。さて、本題のフカヒレは、いきなりスープ、豚骨スープにフカヒレが入っているような濃厚なスープ でビックリ。味は悪くないけど、フカヒレよりもラーメンを入れたくなった。他にもフカヒレともやしの炒め物、エビと卵のカレー炒めやアワビご飯(アワビは 缶詰めか)などこの値段だから仕方ないかという感じ。全体にフカヒレはちょっと臭いが気になった。夜のパッポン通りを冷やかしながらホテルに戻る。凄いと こだな、ここは。 初日の教訓、バンコクは歩いてはいけない、かといってバスはわからん、タクシーは隙在らばぼったくろうとする、とんでもない街だ。 2.1 八十八鍋 今日も寒い、練習場でパラパラっと雑誌をめくっていたら鯛のアラからとった洋風スープの作り方がのっ ているのを見て、『八十八鍋を作ろう』と思いつき鯛のアラと蕪を買って家に帰る。八十八鍋(やそはちなべ)は、とあるお寿司屋さんで教わった簡単で美味し い鍋。材料は鯛のアラ、蕪、米だけで、調味料も料理酒と鰹出汁のみといたってシンプル。 |