2015年4月blog

◆4月29日《バロックの弦楽四重奏演奏会》
バロックチューニングで、全てガット弦を張り(といっても普段もそのセッティングですが)、バロックボウを使っての弦楽四重奏の演奏会、40名限定の小さなサロンをお借りしての初の試みでした。

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入り口にはステキな手書きのポスター。
プログラムはシュースター、シューベルトの初期、ハイドンとどれも地味な3曲、シュースターはモーツァルトと同時代の作曲家で当時はかなり人気があったそうですが、今ではほとんど演奏されません。おそらく日本初演?(真偽の程はさだかではない。)明るく屈託の無い作品はオープニングにはピッタリだったと思います。続くシューベルトは、17歳で書いたとは思えない内容の濃さ、ほんと素晴らしい作品。改めてシューベルトの凄さを感じました。休憩後はハイドンの「太陽」四重奏曲集から2番目のハ長調を演奏しました。この作品が一番てこずりました。第2楽章のカプリッチョが曲者。第4楽章のフーガも曲の半分以上をpで書かれているのが興味深い。でも結局は盛り上がってしまうのですが。この「太陽」四重奏曲集は6曲のうち3曲に最終楽章でフーガが使われています。

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普段はこのような、ギャラリーとして使われているようです。

シュースター:弦楽四重奏曲第2番 変ロ長調
シューベルト:弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調 D.87
ハイドン:弦楽四重奏曲第32番 ハ長調 op.20-2

大鹿由希, 林智之,Vn. 臼木麻弥,Va. 懸田貴嗣,Vc.




◆4月8日《はなまつりコンサート》
しずくいし夏の音楽祭でもお世話になっているピアニスト森知英さんのお誘いで、鶴見大学内のホールではなまつりコンサートに出演しました。
この日は春の陽気から一転して冬へ。我が埼玉地方は雪が降っていました。
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モーツァルト:ピアノ四重奏曲第2番より
バッハ:無伴奏チェロ組曲より
ヘンデル=ハルヴォルセン編:パッサカリア(vn&va)
シューベルト:ソナチネ第1番より(vn&pf)
シューマン:トロイメライ(va&pf)
ショパン:ノクターン(pf)
ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番より
シューマン:ピアノ四重奏曲第3楽章(アンコール)
森知英,pf. 林智之,Vn. 臼木麻弥,Va. 西山健一,Vc.

ピアノ四重奏曲を中心に、チェロの無伴奏、ヴァイオリンとヴィオラの二重奏、それぞれのソロと短い時間でしたが、時代順に並んだ内容の濃いプログラムでした。オペラの疲れもなんのその、楽しい本番でした。

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リハーサル中のお二人。



◆4月7日《今年の桜》
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ちょっと時期が過ぎてしまったけど、堪能しました。



◆4月5日《ウェスタ川越 プレ・オープニングイベント》
川越にこの7月にオープンするウェスタ川越のプレ・オープンイベントにN響のメンバーで演奏してきました。
できたてホヤホヤのとてもキレイな施設です。
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演奏したのはリハーサル室でしたが、300人ほどのキャパで響きも上々、充分コンサートができる空間です。
この日は抽選で180人ほどのお客さんにいらして頂きました。900人以上の応募があったそうです。ありがたいことです。
春なので、春にちなんだプログラム構成、モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番「春」(そのような副題がつくこともある)や「春の声」に、パッヘルベルの「カノン」、モーツァルトのディヴェルティメントより、日本の民謡などなど、流行りの「アナ雪」も演奏してきました。
駅からも近くて便利なウェスパ川越、同じ埼玉県だし、また機会があれば演奏してみたいと思いました。



◆4月4日《ワルキューレ》
約1ヶ月ぶりの更新です。何もしていなかったわけではありません。春の恒例となった「東京・春・音楽祭」でのワーグナー、今年は指環の第1夜「ワルキューレ」を弾いてきました。

4月4日&7日 東京文化会館
指揮:マレク・ヤノフスキ
ジークムント:
ロバート・ディーン・スミス
フンディング:シム・インスン
ヴォ―タン:
エギルス・シリンス
ジークリンデ:
ワルトラウト・マイヤー
ブリュンヒルデ:
キャサリン・フォスター
フリッカ:
エリーザベト・クールマン
ヘルムヴィーゲ:佐藤路子
ゲルヒルデ:小川里美
オルトリンデ:藤谷佳奈枝
ヴァルトラウテ:秋本悠希
ジークルーネ:小林紗季子
ロスヴァイセ:山下未紗
グリムゲルデ:塩崎めぐみ
シュヴェルトライテ:金子美香

ワルキューレは中でも大好きな作品の一つで、いつかは全曲を演奏してみたいと思っていたので、今回は始まる前から楽しみにしていました。1週間のオケだけのリハーサルに続いて、歌手と歌合わせ、ホールでGP、そして本番へと丸々2週間の長いプロジェクトでしたが、時間をかけただけあって本番は迷うことなく集中して弾き通すことが出来ました。毎回ワーグナーをやると思うのですが、よくぞここまで音符を書いたワーグナー、それを読み込んで再現する指揮者、長い歌詞も暗譜で歌いきる歌手と驚きの連続です。指揮のヤノフスキはニコリともせず容赦ない毒舌でオケをしごき、去年はその口の悪さを一々気にしていたのですが、徐々にそれも彼一流のジョークなのだと受け流すことができるようになり、逆に今年は上手くいったところは褒めるようになったヤノフスキにビックリしたり。歌手陣もさすがワーグナー歌手、オケに対して負けない声量、しかしけっして力むことなく長丁場でも余裕で歌いきってしまうテクニックは真似できるものではありません。中でもマイヤーの語るような歌は心に響きました。ゲスト・コンサートマスター、キュッヒル氏の知り尽くしたリードもさすが。安心して演奏しました。
修演後、ステージ上で始めて見せたヤノフスキの笑顔が印象的でした。

来年の「ジークフリート」、ますます楽しみになってきました。