2002年10月〜12月のウィーン日記










10.30
昨日はコンツェルトハウスでイヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管の演奏会を聴く。曲はゴルトマルクの序曲とフバーイのヴァイオリン協奏 曲#3(Lendvai),チャイコフスキーの交響曲4番だ。前半の2曲は曲がつまらないのか、良く解らない。ソリストは凄いテクニックだったけど、やっ ぱり曲がつまらないと思った。残念、ほかの曲を聴いてみたい。まだ28歳くらいなのに、巨匠の風格を漂わせた人だった。チャイコフスキーはつい先日、 ウィーン・フィルで聴いたばっかり。オケのスタイルが違うとこうも違って聞こえるのかと痛感。ブダペストは何から何までハンガリー風、音を短くハッキリ弾 かせたり、独特のアクセントで強調したり。盛り上がり方も熱気を帯びてくるのが良く解る。でも本領発揮したのはアンコール。ハンガリー舞曲とルーマニア民 族舞曲は最高だった。あれだけ聴けただけでもラッキー。イヴァン・フィッシャーは何度かN響にも客演している。特に初共演のブラームスが僕にとっては1番 の思い出。あれほど、鳥肌がたったブラームスは初めてだった。それに入団したその日の演奏会だったしね。その後、エネスコや、マーラーの9番、ドヴォル ザークの7番とかいろいろ楽しかったな。今度はいつ来てくれるんだろう?また来て欲しい。
昨日もビールで程よく酔っぱらって布団に潜り込んだのに、4時過ぎに床下の音で目が覚める。以前より音が大きくなっている。このままだといつか床に穴が空きそうな勢いでかじっている。そのままいっこうに眠れず6時半頃、うっすら夜が明けだしたころに一眠りする。 もうかんべんならん、引っ越しを決意した。現在家捜し中・・・。
10.28 一昨日のねずみ騒動で劇的なサマータイムの終わりも見れずじまい、昨日は余った段ボールやセロテープ、カーペットを掃除するローラーのテープなど、とにか くあるものだけでキッチン下の穴を塞ぐ。これで駄目だったら引っ越しも考えなきゃ。またガムテープで簡易ねずみ取りも製作、設置完了。何も出ないに越した ことはないが、捕まるのも恨みがあるだけに嬉しい。何しろ、昨晩はちょっとした物音でも「ビクッ」とし、床下からカリカリ音が聞こえると目を覚まし、毛布 が顔に触っただけで「ねずみか!」と飛び起きる始末。ほんとノイローゼの入り口だ。もちろん夢にも出てくるので、朝起きて無事だったことを確認してから安 心して眠る。こんな生活を残り10ヶ月も続けると、ホント痩せちゃう。
今日は寒くかった。まだまだ序の口なんだろうけど、「お~、冬じゃ~」と感激してしまった。週明けだし、食料も底を突いてきたので買い 物に出た。パンにソーセージ、ヨーグルトやビール、小さなカーペット、テーブルタップなどを買い込んだ。スーパーのレジで何か言われても、何となく解るよ うになってきたのが嬉しい。お会計とかね。 サマータイムが終わると、ほんと暗くなるのが早い。
10.26 更新を4日も空けてしまった。24日はウィーン・アルティスQのモーツァルトやシューマン#1を聴き、「お~、今までで1番好きかも」って感動した翌日、 25日はコンツェルトハウスでハーゲンQのバッハ、バルトーク#4、ベートーヴェン#1では「なんじゃ、この驚異的な精密度は!」と驚き、改めてハーゲン の恐ろしさを知る。あまりに精密なので、バルトークは初めて聴いたけど、いろいろよく解ってとっても楽しいし、途中どこでどうなったか分解してしまった瞬 間が解ってしまうから恐ろしい。もう一度聴いてみたいカルテットだ。 今日はコンセルトヘボウを聴いてきた。シャイー指揮でストラヴィンスキーとベートーヴェンの7番。ホルンは2人だけど、それだけで威力十分!!弦も厚い響 きがしていた。管楽器は見たところ割と年代の高い人が揃ってるように見えたけど、みんな職人って感じで決めるところは決めるし、無駄がなくちゃんと仕事し てるって感じ。素晴らしいオケだ。
これを書いているとき、台所からガサガサ音がするので覗いてみたら、小さなネズミが出現。ウィーンはネズミいないって聞いてたのに・・・。ショック。
10.22 夜8時頃、インターネットが突然接続不能になって焦った。何度やっても認証に失敗する。今までと設定は何一つ変えていないので、きっとサーバのトラブルだ ろうと思い、2時間ぐらいしてからやったら成功した。最悪の場合は国際電話でインターネットかとも考えたけど、そうならずによかった。だけど、それ以来パ ソコンが突然ダイヤルを始めたり、設定以外のアクセス・ナンバーにかけたりするようになった。なんでや。訳が解らん。だれか知らないが、ウィーン人のお宅 にかかってしまった。 さて、ついに一月が経った。なにも祝杯は上げてない。夕飯も昨日の残りカレーだ。語学学校から戻ってきたら1730過ぎ、「ちょうど一月前、この部屋に 入ったころかな」と思うと感慨深かった。「あの日はカーテンも何もなくて、とっても寒くて震えてたな。翌日布団とカーテン買ってきて、カーテンはホッチキ スで止めたっけ・・・」たった一月だけどいろいろ思い出す。
10.21 日本を離れてまもなくちょうど一月が経つ。早いか。最初はこれから先どうなるのかと思ったけど、何とかなりそうな気がしてきた。今日は、ナッシュマルクト に寄って、先日教わった親子丼を作ろうと日本酒を仕入れるはずが、そばにあった「ゴールデンカレー」の箱に手が伸びてしまい、ニンジンも買って夕飯はカ レーになってしまった。材料は全て揃っている。親子丼用の鳥もも肉、元は一体どんなに大きい鶏?ってくらいもも肉のくせにやたらデカイ。日本の鶏の3倍く らいあるんじゃないか。600gで2Euroちょっと。大丈夫か?タマネギを2個、ニンジン、じゃがいも、ズッキーニも入れて、かくし味は作り置きのニン ニク醤油。これは便利。ちょっと塩辛かったので牛乳を入れる。それでもまだ塩辛い。たまたま飲んでいたフルーツジュースの残りをチョロッと入れてみたらう まくいった。カレーを食べるのはいつ以来だろう。なんとも幸せな夕食だった。でも、ラッキョウがあれば最高なんだが・・・。 あ、先日のウィーン・フィル、ベートーヴェンの序曲「献堂式」は素晴らしかった。ずーと鳥肌状態。でもチャイコは期待しすぎたのか意外と普通だったな。ゲ ルギエフは直球勝負でオケを煽るんだけど、いまいちフル・パワーとはならなかった。オケも応えてたのは十分伝わってきたし。場所のせいもあるだろう。
10.18 今日はこっちに来て初めてピアノの先生のレッスンを受けた(もちろんヴァイオリンを弾いてだが)。曲はモーツァルトの5番。大学3年の時に試験で弾いて以 来のこの曲は、A-Durということもあって音域が高く非常に弾きにくい。少ない練習でレッスンに行ったらボロが出まくり。今までの悪いと思いながら見逃 してた癖を直さないといけない。改めてモーツァルトの難しさを感じる。1楽章で終わりかと思ったら3日後に2・3楽章を持ってくるようにと言われ慌てる。 今まで一度も弾いたことないので帰ってすぐさらいだした。こういうことも普段は無いので楽しい。ピアノの先生曰く「5曲全部やるといい」そうなので、うま く行けば譜読みくらいは全曲できそうだ。 そのレッスンの後、学生部に行って先日の試験結果を聞く。あれほどボロクソに言われていた(様な気がした)楽典は合格、ドイツ語は案の定不合格とでてたけ ど最終判定は合格。(もしかして試験官は、ワザと険しい顔をしながら俺のことを褒めて、ホントにドイツ語を理解しているか試していたのだろうか?)とにか くめでたい。学生証をもらったので間違いないと思う。なんかバタバタしているうちにというか、どさくさに紛れていつの間にか学生になってしまった。
ausweis.JPG 昨日聴けなかったウィーン・フィルのリハーサル、余ったチケットが急に廻ってきて明日の演奏会に行けることになった。指揮はゲルギエフでチャイコフスキー他をやるそうだ。なんか凄い名演の予感がする。
10.17 今日はウィーン・フィルのリハに潜ろうと思っていたら、先生より電話があり急にレッスンになってしまったのでリハを諦めて練習。今練習しているのはベー トーヴェンのソナタ。レッスンに行って、同じ楽譜を見て弾いているのにこうも先生と、音楽から音色、すべてにわたって違うのかと愕然とする。とてもシンプ ルでそのままやれば十分素晴らしい音楽になるのに、それをしないかやり過ぎてバランスを崩すのかのどちらか。もっと深く楽譜を読む癖をつけよう。 レッスンが終わって小雨の中歩いていると、NORDSEEを見つける。NORDSEEはウィーン市内でよくあるシー・フード専門のお店。店頭に並んでいる シーフード・サラダや魚のフライ、サーモンをはさんだパンなどをもって帰るもよし、店内で食してもいい便利なお店。イカ、えびに目がない僕としてはいつも 気になりながら我慢していたが、今日はレッスンも終わったことだし奮発してカラマリを買う。たった3Er.だけど。ケルントナー通りにあるNORDSEE のは揚げすぎでパサパサしてたけど、今日のポテトとカラマリはジューシーで美味しかった。 先週からひきだした風邪は咳がとまらない。一度出だすとしばらく続くので厄介だ。
10.15 今朝やっと電話の工事が来てくれるので朝早くから着替えて(なんでもこっちは時間どおりに来たためしがなく、8時過ぎに来ることもあるという話を聞いたの で)待っていたのに、予定の時間を過ぎても現れず。仕方なくテレコムに電話するも直ぐ切れてしまい訳が解らないので、結局友人に頼んで聞いてもらう。話に よると、工事の人は来たらしいが別の部屋の工事をして、サインまでもらって帰ってきたらしい。こっちの連絡により間違って工事をしたことが判明したよう だ。そういえば、確かにブザーが鳴ったのだが隣の人がでて行って応対してたので、てっきりそっちの訪問者だと思っていたのだがどうやらその人がサービスマ ンだったようだ。隣人もドイツ語が通じないので、きっと「ウィーンは連絡しなくても勝手に電話を繋ぐ工事に来てくれるんだわ」なんぞ勘違いして、喜んで工 事してもらったのだろう。それにしてもサインまでして名前とか電話番号とか確認しなかったのかねえ。いやはやなんとも言えない・・・・。 語学学校の帰りにムジークフェラインのKassaにより今月のウィーン・アルティス・カルテットのチケットを買う。「1番安い席(5Euro)は舞台が全 く見えないけどいいの?」ってチケット売りの女性に言われるが構わない。直ぐそばの舞台の良く見えて音のよい席はたいてい空いているし、みんなそこを虎視 眈々と狙っている。いっつも同じ人がいて、最初は安い席にいるけど本番始まる前になるとちゃっかり高い席に座っているからみんな考えることは一緒。アル ティスは以前から生で聞いてみたいと思っていたカルテット。その翌日にはコンツェルトハウスでハーゲン・カルテットがあるし、来月にはツィンマーマンが ベートーヴェンのピアノ・トリオをツァハリアス、シフとやる。その前の日はツェートマイヤー。オケは今月コンセルトヘボウとブダペスト祝祭管に行く予定。 昨日妹と話をしていたら、「ミュンヘン・フィルをシモーネ・ヤングが振ったとき1番感動した」と言っていたのでヤングのブルックナー#6も是非聞かねば。
10.14 昨日から風邪をひいてしまった。急激に寒くなったのに加え、カラカラに乾燥しているため喉をやられてしまった。そうなった時用にあらかじめ日本から風邪薬 を持参、早速飲む。昨日ばかりはビールもお休み。大きな鍋にお湯を沸かして、そこにハンガーで半分だけタオルを突っ込んだ状態でぶら下げ、枕元に置いて寝 る。簡易加湿器のつもり。濡れたタオルを枕元に吊るしただけだと、朝にはパリパリに乾いてしまうくらい部屋が乾燥しているのだ。そうやって心地よく寝たは ずなのに、夢で先日の楽典の試験が出てきてうなされる。夢の中で必死にドイツ語で訴えようとしていた。他にもアバドが両耳にピアスを開けて指揮台に立って いるのを見て、「えっ、もしかしてホ○だったの?」とビックリしていたり・・・、訳の解らない夢が多い。 今日は午前中レッスン、午後は語学学校で一日出歩いていた。風邪の具合も回復に向かっていて食欲も出てきたので、こっちで初の牛肉をステーキにしてみる。 狂牛病問題で騒がれているらしいが、見るからに安全そうな牛肉(見て解るわけないが)。ステーキ用スパイスとワインをふって、ニンニク・オイルで焼いて、 仕上げにバターとニンニク醤油を軽く絡ませて出来上がり。オーストリア産の肉で臭くない。味もしっかりしててて美味しかった。400gの肉で約300円。 付け合わせはじゃがいもと茹でたキャベツ、トマトでした。
10.11 先月の入試を受けて合格だと聞いていたのに、この期の及んで楽典とドイツ語の試験があると連絡が入った。そしてその試験が今日だった。楽典(音楽に関する 基礎知識)はもうかれこれ十年近くやっていないし、ドイツ語などもっての外だ。連絡があった以上行かないわけにも行かず、とても緊張して指定された試験会 場に向かった。予定時刻になっても試験官は現れず、「こっちは時間にルーズだな」と思っていたら隣の部屋から出てきた女性に「試験会場はこっち!」と言わ れる。違う場所でずーと待ってたわけだ。だいたい詳細は書面で連絡すると言っておきながら、その書面はまだ届いていない。「受けられただけでも良しとしよ う」と、気を持ち直して試験用紙に向かう。出題自体は小学生でも出来そうなくらい易しかったが、どう答えてよいのかがさっぱり解らない。途中で気がついた ことが、こっちは移動ドであること。移動ドとは楽譜上でたとえミとかファとか書いてあってもそれをドとして読むことから全て始まる。 「楽譜にはファと書いてあります。これからピアノで出す最初の音をドとして聴きなさい、じゃ弾きます、レ~~ラ~~!!」 「えっ???、もしかして弾き間違え?」 しばらく考えているうちに次の問題へ。これをやれといわれても、楽譜に書いてあるのはファだし、試験官の弾いた音はレはレ、ラはラにしか聞こえない。答案 用紙に「A=440HZ.?」って書いてみたけど、首を横に振られてしまった。途中でどうにか方向転換を試みたが余計パニックになったところで終わり。終 わってから試験官に 「あんた、何年楽典、日本でやって来たの?」 僕「え~と、・・14歳の時から・・・大学入って・・・・ええっと・・・・ (最後まで聞かずに試験官喋りだす)試験官「14年もやっててこの程度!!まぁ、なんてこと!! (その後想像するに)あんたの入ろうとしているのはその辺の学校と違うのよ、特別なクラスなの、こんな初歩的な楽典もできないでこのクラスに入ろうっていうの!それは無理だわ・・・・(以下延々と続く) どうやらとんでもない答案を出してしまったことだけは確からしい。言葉の壁はこんなところで災いをもたらす。 家に帰ると、「試験会場のご案内」が届いてた。
10.8 電話は来週の火曜日にやっと工事をしてくれるとの連絡が入った。これでホームページの更新もやっと出来るメドが立った。 今日はこっちで知りあった日本人の方とモーツァルトの協奏曲の初見あわせをした。彼女はウィーンで伴奏の勉強をしているそうで、この後モーツァルトをレッ スンに持っていきたいとのこと。僕としてもこっちに来て頭も身体も完全にオフ・モードから、レッスンとか合わせとか刺激があるといろいろ勉強になる。せっ かくの良い機会なのでいろいろチャレンジしてみようと自分に言い聞かせ、鈍りつつある身体に鞭を入れることにする。 明日はジュリアードQの演奏会に行く予定だ。
10.4 一時期、急激に冷え込んだと思ったらその後持ち直し、毎日日差しの照る穏やかな陽気に戻っている。気温は20℃弱で、大家さんに入れてもらった暖房が逆に 災いをもたらしている。日が射してくると人々は公園や宮殿に出ていって日なたぼっこ、僕も毎日出ては散歩や買い物、コンサートと軽く3時間は歩き回ってい る。お陰で少々痩せたようだ。 ウィーンというとついついモーツァルトという印象が今まであったが、こっちに来て練習を始めたのはベートーヴェンのソナタ、買ったCDはベートーヴェンの 弦楽四重奏曲全集(アマデウスQ)、交響曲全集(ノリントン指揮ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ)、ヴァイオリン・ソナタ全集(フランチェスカッティ とムターのDVD)、それにピアノ四重奏曲やHess番号のついたほとんど知られていない室内楽曲の6枚組と、何故だか解らないが完全にベートーヴェン・ モード。今もノリントンの交響曲を片っ端から聴いているところ。オリジナル楽器でテンポも速めの演奏。ティンパニのアクセントの付け方が独特で、それに よってグッと曲が引き締まってくるから一気に最後まで聞き通してしまう。また普段聞こえないメロディが浮き上がってきたりしてかなり面白い。日本では出て いたのかな?全集で22.8Er。安い買い物だった。
10.2 未だに部屋には電話がない。オーストリア・テレコムには着いた翌日申し込みをした。やっと今日になって申し込み確認の書面が届き、これから工事の日程を調 整するとのことだそうだ。オーストリアの公衆電話ではKDDIのスーパーワールド・テレフォンカードが使えないので、わざわざ日本からかって持ってきたの に宝の持ち腐れ。それに全く連絡をとる手段がないのはとても不便なので、現地のプリペイド式携帯電話を購入した。ドイツ語だらけで使い方はさっぱり解ら ん。だが、これだとKDDIのカードで日本へアクセスできるので、早速N響に連絡先を伝える。 今日は、ORFウィーンのヴァイオリン奏者中島さんのお宅へお邪魔した。同じ澤門下生で同学年という彼女なのだが、「通算するとまだ10回も会ってないよ ね~」などといいながら長々と積もる話に花が咲いた。彼女の旦那さんはウィーン響のホルン奏者で、ちょうど翌日からアーノンクール指揮コンツェントゥス・ ムジクスのリハがあるというので覗かせてもらうことにした。 夜はウィーン2回目の演奏会、キュッヒル・カルテットでバルトーク2番、モーツァルトd-moll、ブルックナー弦楽5重奏曲を聴く。ブルックナーはオケ を知っていなければ弾けない曲だ。さすがウィーン・フィルのメンバーだけあって、頭の中にはフル・オケが響いてきた。それにモーツァルトの第3楽章 Trio部!当時ににタイム・トリップしたかのように素晴らしい響きで、「これだよな~」と一人感激していた。
9.28 ウィーンでの最初の演奏会、コンツェルトハウスでアーノンクール指揮ウィーン・フィル、プログラムはドヴォルザーク:スラヴ舞曲抜粋と交響詩「金の糸紡 ぎ」、スメタナの「我が祖国」よりヴィシェラードとモルダウ。アーノンクールの楽曲解説つき、チェコ人の民族ダンスがオケ前のセミ・ステージで踊り、しか もオケはウィーン・フィル、こんな贅沢な演奏会は他にあるだろうか。解説はドイツ語で全く解らず、会場がアーノンクールの冗談でウケているにもかかわらず ただじーっとアーノンクールの身振り手振りを見ていただけだが、音楽が始まると身体中がうずく。トランペットやトロンボーンのちょっとした和声の響きの素 晴らしさ、打楽器陣の表現の幅広さ、弦楽器の鳥肌が立つほどの音色の美しさ・・・書くのがバカらしいくなるくらい、やはり素晴らしいオケだった。盛り上が りだしてからクライマックスまでのジワジワと迫ってくる緊張感では、ほんと涙出てしまいました。それがその後もその後もずーと続くんだからどうしようもな い。約2時間半の演奏会だったのに、いつまでも聴いていたい気持ちになった。鳴り止まない拍手にアーノンクールはインスペクターらしき4プルトのヴァイオ リン奏者と打ち合わせ、そしていきなり冒頭で演奏したg-mollのスラヴ舞曲をアンコール。間に合わない管楽器やら打楽器セクションは必死に楽譜を探 す。予定にない出来事だったのだろう、終演後の楽屋が目に浮かぶ。聴衆の期待を裏切らない演奏、そしてエンターテイメント。目の覚める思いがした。
9.27 日本から送った荷物がやっと一つ届いた。中身はユニクロのフリースや米などの食料品。特にフリースは寒さをしのぐのにとても助かる。それを着て早速街に買 い物へと出掛ける。コンツェルトハウスに行ってコンサート・ガイドをもらう。28日にウィーン・フィルとアーノンクールの演奏会があるのでチケットを購 入。最高ランクの110ERだが、まあウィーン最初の演奏会ということで奮発。場所は2階正面の1列目。なんと素晴らしい席だ。明日が楽しみ。そのあと、 ナッシュマルクトに向かう。 ナッシュマルクトは小さなアメ横のような食料品がたくさん並べてあるところで、オリエンタルなものから怪しげな魚介類まで見ているだけでも飽きない市場 だ。トマトを1kg.=約¥200、じゃがいも1kg=\150で購入。夕飯はじゃがいもやタマネギ、ベーコンなどでスペイン風オムレツを作った。
9.25 ウィーンに着いた日はそれほどでもなかったが、翌日から急激に寒くなってきた。日本の感じだと11月中旬に近いかな。もうすぐそこまで冬が来ている。それ なのにまだ部屋には暖房が入らない。日本から送った荷物はまだ届く気配もなく、薄手のカーディガンと薄いフリース1枚を着込み、鍋でお湯を沸かして過ごし ている。街中のお店はもう暖房を入れているので、きっとこっちの人にとっても寒いのだろう。大家さんの話だと暖房は毎年1015日から入れてるとのこ と。とてもそれまで我慢できないので電話して暖房を入れてもらうよう頼む。 今日はやっと鍋を一つ買い、スーパーでタマネギ、にんにく、ベーコン等を仕入れてパスタを作る。包丁がないのは不便だ。それにオタマもないので小さなスプーンでかき混ぜる。見てくれは悪いが味は良い。こっちのベーコンは味が濃くて美味い。
9.24 今朝も5時頃目を覚まし、二度寝して8時に起床。今日は入学試験がある。ウィーンの大学は25歳までの入学しなければいけない制限があり31歳の自分は最 初から諦めていたのだが、今月になってポスト・グラデュエートの講座が開設されることになったので試験を受けるよう連絡が入り、その試験が今日だったわけ だ。 僕・・・「試験前にちょっと練習したい」、先生・・・「どのくらい」、僕・・・「30分~1時間くらい」、先生「試験は4時だから・・・、じゃ、2時にお いで」と昨日打ち合わせをして、約束通り2時に行ったら「ごめん、試験は2時からだった。君の出番は220頃だから220にホールに。」 「え~!約束が違う~」とは言わなかったが、かなり焦った。しかも初め待ち合わせ場所を間違えて同じ並びの別の音楽何とかという建物の中で待っていたの で、間違えに気がついて慌てて走って行ったから息も上がっている(身体は暖かくなってたが)。気持ちを落ち着けて約10分ゆっくり練習。今さらどうしよう もないので諦めてホールに向かった。結局ホール前で30分ほど待たされて、とっても響くホールで弾いた時間はたったの5分。3時前には外の風に当たってい た。 さて結果は合格。「見事に」か「どうにか」かは解らないが、受かればこっちのものだ。来週から早速レッスンが始まる。とても楽しみだ。
9.23 夜中2時過ぎに一度目を覚ます。再び寝て今度は5時、もう眠くないけど寒いのでもう一度寝て、結局7時に起床。今日は12時からいきなりレッスン、先生の 名はThomas Christian(先生がこのページを見ているらしくせめて名前だけでも解るように横文字にした)。サラミとパンで朝食をとり、それから練習開始。まる で別人の手だ。ここ1週間留学の準備でろくに練習していない報い。最低限の調子を取り戻してレッスンに向かう。先生に「リラックスして弾いてごらん」と言 われ、緊張がちょっとほぐれる。弾きだして数十秒後、自分が昔から憧れていた、ブラームス、モーツァルト、ベートーヴェンなどが実際にいた街ウィーンで演 奏していると思うとなんとも幸せな気分になる。そんなことを感じると緊張なんてどこかへ行ってしまった。レッスンのあと、いろんなお話を伺いながら先生宅 で昼食を御馳走になった。
さてそれからは買い物!!とにかく布団を買わなければ今夜も浮浪者のようになってしまう。ガチョウの羽根布団や毛布、枕、敷き布団、カ バーなどをそろえて日本円で約14000円程度、安い。しかもフカフカだ。こっちは食べ物も日用品も日本と比べるととても安い。日頃の欲求不満を買い物で 一気に解消。勝ち誇ったように帰宅する。今日も時差ボケらしい、頭がクラクラしてくる。
9.22 朝6時に起きて、車で成田空港に向かう。空港ターミナルの予想以上の混雑ぶりにビックリし、何も買い物できないまま搭乗ゲートへ。オーストリア航空の機内 食は美味しかった。一食目は肉を頼んだらトロトロになった肉にパスタと野菜の付け合わせのビーフシチューのようなものが出た。魚を注文するとウナギご飯が 出てきたが、ご飯はバターライスでちょっと不思議な味だったそうだ。 ほとんど寝ずに12時間、現地時間で午後4時過ぎにウィーンに到着、西駅行きのバスに乗る。今日からの住まいは西駅に近く、駅に行けばいろいろお店がある ので便利。荷を解いて掃除して・・・とするうちに頭がくらくらしてきて、見事に時差ボケになっていた。日本時間にするともう夜中だもんなぁ。そろそろ寝よ うと借りた布団を見たらボロボロ、しかも夜になると急に冷えてきてとても寒い。仕方ないので靴下を履いて、達磨のように着込んでバスタオルやコートをかけ て寝た。