カンマーフィルハーモニーひろしまドイツ公演

◆5月2日 《ベルリンの模型》


今日は本番日。

午前中、会場のRotes Rathausを下見してから昼食までの間、近くのショッピングモール「アレクサ」に行ってきました。といっても、買いたいものはほとんど無く、ぶらぶら見て回るだけ。そういえばガイドブックにここの最上階にベルリン市街を模型にしたジオラマがあることを書いてあったなぁと、最上階へ向かいました。
1人12Euroは高いかもと思いながらも入ってみてビックリ。
これはすごい。
完全コンピュータ制御、ICEICEらしく速く、SLや貨物はノロノロ、トラムあり、貨物ヤードあり、赤信号で止まり、駅でも止まる。照明でヒル夜の演出あり、ただし鉄博のようなアナウンスや時間制で入れ替えはないので、ひたすら見て楽しめる。訪れている人が子供より大人の方、しかも女性が結構いる。これで12Euroは安い。
鉄博のような、ただひたすら複々線をグルグル廻しているだけとは比べ物にならない複雑さ。ベルリンに行ったら是非。お勧めのスポットです。

(ムービーの最後にチラッと映るのは広響の潮田。彼女も熱狂してました。)


◆5月2日 《カンマー ベルリン公演》
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最後の演奏会。ベルリンの赤の市庁舎内の大広間にて。

この日はラジオの収録もあり、また管楽器と弦楽器の時差がかなりあり、アンサンブルに不安、ちょい緊張。でも無事終わりました。
今回は日独友好150年を記念してのプログラムで日本の作品を2曲演奏したけど、海外で邦人作品を演奏するとやっぱり日本人だなぁとつくづく思う。そして曲にとても共感してしまう。この作品を1番共感して演奏できるのは我々なんだと強く思う。指揮のマーティンも言ってたけど、地震や原発の問題で日本が大変なことになっている時だからこそ、「日本は元気です」というメッセージを伝えなければいけない。そういう意味でも、今回のツアーは行って良かったし、独日協会の方々を始め、ホストファミリーや一緒に演奏したカンマーのメンバーに感謝したい。


201152日 20:00 開演
市庁舎 グローサーフェストホール
(Rathaus Grosser Saal)
ベルリン(Berlin),  ドイツ
ピアノ:川島基 琴:木原朋子 マーティン スタンツェライト指揮カンマーフィルハーモニーひろしま
芥川也寸志:弦楽のための三楽章「トリプティーク」 モーツアルト:ピアノ協奏曲第27k.595 肥後一郎:琴と弦楽合奏の為の一楽章 シューベルト:交響曲第5

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始まってしまえば、あっという間の
10日間だったカンマーひろしまのドイツツアー。去年旗揚げ公演をした際、リーダーのマーティンが「来年ドイツ公演をします。」と言った時は、ほんまかいな?と思ったが、それからはみんな一つの目標に向かって突っ走ってきたと思う。去年の演奏会の収益はそのままドイツに行くための準備金としてプールするだけでなく、クリスマスコンサートなどでも資金を集め、助成金の申請をし、いくつもの旅行会社と掛け合い、ありとあらゆる準備をみんなでやったのだ。演奏するだけでも大変なのに。そして演奏会をし、無事、病人もけが人もなくツアーを終える事ができた(僕は関東からの参加で、広島でのお手伝いはできなかったのだが)。
また、2家族にホームステイという貴重な経験もでき、人と人の繋がりをひしひしと感じた時間でもあった。
これほど和気あいあいと楽しく演奏できる団体ってそうないんじゃないか。
また来年、一緒に演奏できると良いな。




◆4月30日 《ベルリン》
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早朝物音で起きる。外で誰かが叫んでいる。電気をつけて携帯を見る。
3:55。
やっちまった。寝坊だ。
出発は4時。急いで着替え、シャワーNo、歯磨きNo、で部屋を飛びだした。バスに乗ったのは4:05。
5分遅刻。
携帯の目覚ましをセットしたはずなのに、マナーモードになってた・・・。
これからバスでカールスルーエ・バーデン・エアパーク(エアパークって、どんな空港や)に向かい、そこからエアー・ベルリンでベルリンに入る。今日から3日間、再びホームステイとなる。ドナウエッシンゲンがあまりにも快適だったので、それ以上は望めないだろうなぁ、大丈夫かなと不安がありつつも、飛行機では爆睡。朝8時にベルリン・テーゲル空港に到着した。


テーゲル空港に出迎えてくれたホストファミリー、独日協会の会員だけあってどの人も親日家。我々がお世話になるイナとヨルクご夫妻も玄関にこのような飾りをして出迎えてくれた。息子さんが大阪に1人で住んでいるとかで、
イナは日本語を勉強中。
家に着くなり、「ジブンノイエノヨウニ、クツローイデクダサイ」と言われた。
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今日は一日オフ。夕食までどのように過ごすか相談。
我々が「ベルリンを散歩したい」と言ったら、一緒になってつきあってくれたイナとヨルク。ブランデンブルク門からUnter den Lindenを歩き、シュロス橋から戻ってブランデンブルク門をくぐり、公園の中を抜け、Zooの脇のカフェでお茶をし、空襲で壊れたままになっているウィルヘルム教会(修復中で見られなかったが)までまるまる5時間、全部歩いてのベルリン観光。途中、名所をとてもわかりやすく説明してくれた。
ウチに戻ってヨルクの万歩計を見たら14000歩、8キロも歩いてた。

夜はイナの日本語の先生、サオリさんが来て一緒に食事。ヨルクが全部作ったドイツ料理は絶品でした。ここベルリンもとても居心地の良いファミリーだ。

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翌5月1日

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今日は一日オフ。カンマーのメンバーとポツダムへ観光。
途中、昼食をとりました。この季節ならではの白アスパラです。
写真ので、1人前。ジャガイモのサイズからアスパラの大きさが想像できると思いますが、日本で食べる缶詰めのものより2,3倍はあるかという太さ、大きさ。アスパラには疲れを取る作用があるとかで、英気を養うにはぴったりのランチでした。

シュパーゲルでランチを楽しんだ後、バスでポツダムへ。まずはサンスーシ宮殿です。シュパーゲルには利尿作用もあるらしく、バスが着くなり
Vn.山根さんが「イッヒ メヒテ WC!」と叫びながら内股でトイレへ直行、その後みんなトイレに並んでました。
さて「サンスーシ(Sans Souci)」とは、フランス語で「憂いなしに」との意味だそうで、1750年ころに建てられたお城。当時としては画期的な集中暖房(Heizung)や全方向からでるシャワー、水洗トイレなど、充実した設備が備わっていました。またここで結婚式を挙げる事ができるそうで、挙式後はお城内に泊まれるとか。

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ツェツィーリエンホフ宮殿、あのポツダム宣言はこの中で出されました。
旧東と西ドイツの境にあったこの宮殿、当時ベルリンの壁がこの庭にあり、写真の庭から先の湖(ユングフェルン湖)は壁で遮られて見えなかったそうです。

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◆4月29日 《フライブルクへ移動して本番》
この日は一番ハードなスケジュールでした。

10時出発、フライブルクへ移動、みんなでランチ。
午後3時からリハーサル、夜8時15分開演。
翌朝4時!にベルリンへ出発。
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写真はランチタイム、チェロのエミリーちゃんと。(後ろにはコンマスの豊田弓乃さん。)
トマトスープ、美味い!

同じくランチタイム、左よりヴァイオリンの山根さん、臼木、ヴァイオリン潮田。
スープの後に、スズキのような白身の魚のオーブン料理、付け合わせにジャガイモとほうれん草のソテー。肉続きだったので、お魚は嬉しかった。
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午後は大学内のホールで
GP、2時間ほど。今日はプログラムが違うので気を引き締めないと。
GP
でバランスを聞いていた人から、2nd.Vn.Violaがぜんぜん聴こえないと言われ、いろいろ調整していたら原因はこの会場の形にある事が判明。写真でわかるように、ステージ後ろの壁が円形にカーブしていることと、緑色のカーテンと白く見えるビニール製の大きな幕によって、あるポイントで弾くと音が打ち消しあって会場に届かないらしい。そのポイントがちょうど2nd.Vn.Violaの弾く辺り。楽器の向きを客席に向けるとダメで、真横の木の壁に当てるようにして弾くとどうにか聴こえるようになる。ステージ上のバランスはまったくアテにならないわけで、本番でお客さんがどのくらい音を吸うか想像もつかないが、大きめに弾く事で乗り切る事にする。
外はあいにくの雨模様で出歩くのも大変、楽屋に椅子を並べて昼寝。
まだまだ時差は取れてなく、夜8時頃から急に体が熱くなり、睡魔が襲ってくる。ちょうど本番のころが1番辛い時間。
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本番は多数のお客さんにも恵まれ、睡魔にもめげずテンションを高く演奏する事ができた。この演奏会のみの演奏、フルートとハープのための協奏曲は、広響の中村めぐみさんと僕の妹、林千佳世が独奏を務めた。フライブルクでこのような機会に恵まれるなんて、もう二度とないだろう。ありがとう、マーティン。

終演後、家族で一瞬打ち上げ、夜1時過ぎに宿舎に戻り、携帯の目覚ましを3時にセットする。翌朝は朝4時に出発、そう2時間程しか眠れないのだ。そしてあっという間に眠りについた。
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大学ホール フライブルク(Freiburg/Breisgau),
フルート:中村めぐみ ハープ:林千佳世 琴:木原朋子 マーティン スタンツェライト指揮カンマーフィルハーモニーひろしま
芥川也寸志:弦楽のための三楽章「トリプティーク」
モーツアルト:フルートとハープのためのコンチェルト KV.299
肥後一郎:琴と弦楽合奏の為の一楽章
ハイドン:交響曲第85 「女王」



◆2011年4月28日 《ドナウエッシンゲン》

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ドナウハレ。最近できた新しいホールで、我々が演奏会をしたのはストラヴィンスキーザール。他にバルトークザール、モーツァルトザールがあり、毎年現代音楽祭が行われているドナウエッシンゲンらしいネーミングと近代的な作り。ストラヴィンスキーザールでオーケストラが演奏するのは初めてだそうで、その記念すべき1番目の
Orchsterになった。

428日 Donauhalle
ピアノ:川島基 琴:木原朋子 マーティン スタンツェライト指揮カンマーフィルハーモニーひろしま
芥川也寸志:弦楽のための三楽章「トリプティーク」 モーツアルト:ピアノ協奏曲第27k.595 肥後一郎:琴と弦楽合奏の為の一楽章 シューベルト:交響曲第5


◆2011年4月27日
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カンマーフィルひろしまの演奏会でドナウエッシンゲンに来ました。

成田からオーストリア航空でウィーンへ飛び、チューリヒ行きに乗り換え、さらに夜8時にチューリヒ空港でバスに乗り換え、ドナウエッシンゲンには9時半頃着きました。夜のホール前にはお世話になるホストファミリーの方々が出迎えてくれて、それぞれの家に分かれて宿泊です。
僕が泊まったお宅は会社の社長さんで、日本のものとは比べ物にならないくらい広い。屋根裏部屋なのにシャワー、バスタブ、トイレと完璧に揃ってました(後でわかった事ですが、昔は伯爵の別宅だったらしい)。軽い夕食が用意してあり、ビールとワインを飲みながらいろいろ話をしました。ホームステイと聞いて最初は心配していたのですが、大丈夫そうです。というか、そうとう快適。

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ドナウエッシンゲンには この井戸、泉がドナウ川の源流といわれているものです。下からプクプクと空気が浮き上がって来て、水が湧いているのがわかります。
フュルステンベルク城のすぐ脇にあって、すごく水がきれい。
そしてフュルステンベルクというビールも1283年から造られています。
軽くて美味い。

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原発の問題から日本中が放射能汚染されているような報道が一時期ドイツでもあったようで、
ここへ来るまでは受け入れてもらえるかどうか心配しました。お土産も食べ物は持って行ってもダメだろうなとか、物も密閉されてないとダメかなとか考えたのですが、それは杞憂に終わりました。ここのホストファミリー、奥様のネリと旦那さんのアロイス、どちらも大きくて温かい人でした。家も信じられないくらい広かったですけど。
ネリはこの日、息子さんの彼女と一緒にマヨルカ島に行ってしまうので、演奏会は来られません。なので、朝食後に一緒に写真を撮りました。
我々は朝10時からのGPに出かける際にネリとお別れのあいさつ。たった3日間でも家族のように接してくれたネリはうっすらと涙を浮かべてお互いにハグ(うるるん滞在紀の気持ちがちょっとわかった)。
アロイスは夜の演奏会後、打ち上げに来てくれ、最後まで飲み、さらに家に帰ってからも赤ワインを開け、2時過ぎまで語り合いました。
Nelly und Alois ,
Vielen dank!!

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