過去のBlog 2011年4月

◆2011年4月23日 《ノリントン指揮N響定期公演》
今月はサー・ロジャー・ノリントンが登場、3つのプログラムを振ってます。

先週はお得意のエルガー:交響曲第1番とベートーヴェンの交響曲第1番。今週は(昨日と今日)マーラー:交響曲第1番「巨人」と花の章、さすらう若人の歌でした。ちなみに来週はオール・ベートーヴェンです。

ノリントンといえばピュア・トーンと自ら言っているノンヴィブラート奏法で、古典だけでなくロマン派以降の作品も演奏して話題になり、シュトゥットガルト放送響との録音でもその斬新な響きは実証済み。この奏法でエルガー、マーラーをやるのだから興味は大です。
エルガーは良い曲なんだけど長くてごちゃごちゃしてて難解でと、今まであまりピンとこなかったのが、彼の指揮で曇っていたガラスがピカピカに磨かれた後のようにスッキリ整理整頓されて、とても弾きやすかった。練習中、マーラーやワーグナーとの関連性を話してくれて、同年代なんだよなぁと改めて納得。ノリントンでエルガーは昔、ベルリン・フィルを振ったのをテレビで見たことがあるのですが、あの時の感動が蘇るというか、本物だ〜とちょっと嬉しかった。
ベートーヴェンに至っては、素晴らしいの一言。まだ耳の病気もない前途洋々とした頃のベートーヴェンが、活き活きと蘇ってくる。こんなに楽しいベートーヴェンはいつやっても良い。来週は2番に「皇帝」、聞いて損はないと思います。
マーラーはかなりスッキリとしたプロポーション、テンポも速め。ドロドロとしたマーラーとは対極でしょう。

また先週のエルガー、今週のマーラー、どちらも改めて音楽のエネルギーは凄いなと実感。夢中になれる時間は素晴らしい。



◆2011年4月10日 《メータ指揮第九》
何がどうのと言うことがはばかれます。


メータ氏の登場で尋常でない空間、
彼の日本の震災に対する思いにただただありがとうとしか言えません。

終演後、舞台袖に戻るメータ氏は我々メンバーにねぎらいの言葉をかけて下さいましたが、その目にはうっすらと涙が光っていました。
今日はメータ氏が仏様のように見えました。

我々の意思は今日一日で終わる事なく、日本が落ち着いて暮らせるようになるまで、できる事をやり続ける事が大事です。

(しがない音楽家ですが、)できる事をやっていこう。



◆2011年4月9日
第9のリハーサルを順調に行っています。


この方はいろんなことを経験し、感じ、すべてを受け入れて今を迎えている、当たり前の事ですが。
そして本当にいい音楽を聴いてきたんだろうなぁ。

第3楽章を振っているメータ氏が大仏さんのように見えます。

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◆4月7日 《地震が続いています》
先程の地震もかなり大きかった。埼玉地方は震度
4、宮城県は震度6強。マグニチュードは7.4だそうだ。先月の地震から徐々に落ち着きを取り戻しつつあったので、ショックというか、いったいいつまで続くのか。まだまだ先が長い。

ウララちゃんはしばらく吠え続け、1時過ぎに疲れて寝てしまった。それでも時々思い出したように吠えだす。犬なりによっぽど怖い思いをしたんだろうな。

明日からN響は東日本大震災チャリティ公演のリハーサルが始まります。
410 |  | 開場 3:15 PM  開演 4:00 PM  東京文化会館 大ホール ~東北関東大震災 被災者支援チャリティー・コンサート~ 
ズービン・メータ指揮 NHK交響楽団 特別演奏会
ベートーヴェン:交響曲 9 ニ短調 作品125「合唱つき」
指揮/ズービン・メータ
ソプラノ/並河寿美
メゾ・ソプラノ/藤村実穂子
テノール/福井
バス/アッティラ・ユン
合唱/東京オペラシンガーズ

是非お越し下さい。


◆4月1日 《カンマーフィルハーモニーひろしま》
広響首席チェロのマーティンが中心となって活動しているアンサンブル、
カンマーフィルハーモニーひろしま。昨年旗揚げ公演に参加し、今年は3月30日に2回目の公演に、日独交流150周年を記念してのドイツ公演も予定されています。30日は本来ならオペラの練習が始まっているはずでしたが、公演がキャンセルになってしまいリハーサルもなし。そこでカンマーフィルハーモニーひろしまの演奏会に急遽参加してきました。

1曲目の芥川のトリプティークに、3曲目の肥後一朗の箏と弦楽器のための1章。どちらも子供の頃聞いたようなことのある、血に入っている音楽であり、静かに移り行く色合いは我々日本人を認識させられる曲です。箏の木原朋子さん、和と洋の世界を上手く繋いでくれました。着物柄のドレスも素敵、ブラボー。
そしてマーティンがマイクでアナウンスしたように、「我々日本人は元気です、こうして元気にドイツに演奏しに来ました」というメッセージを込めるには最適な選曲でした。
2曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲第27番、ソリストは川島基さん。軽やかなタッチと遊び心のある歌い回しはモーツァルトそのものでした。こちらもブラボー。
そしてメインはハイドンの「女王」交響曲。
4曲ものプログラムを短いリハーサルで仕上げるのは大変でしたが、とても有意義な時間でした。
また、弾きながら一音一音の大切さをビンビン実感しながら弾けたのは、何かに敏感になっているからでしょうか。
音楽はいいねぇ

このプログラムで来月はドイツ公演。
それこそ日本人は元気です!
と、言い切れるエネルギーを持って演奏したいです。